黒澤清

黒澤清：日本の会計学に燦然と輝く功績

黒澤清（くろさわ きよし、1902年9月5日-1990年3月30日）は、日本の会計学界において卓越した功績を残した学者です。経営学博士の学位を持ち、横浜国立大学と獨協大学の名誉教授の称号を贈られています。茨城県ひたちなか市（旧那珂湊市）に生まれ、日本の会計学、ひいては経済界の発展に多大な貢献を果たしました。

学究への道：揺るぎない探究心

1915年、横浜市立二谷小学校卒業後、成蹊実務学校（現成蹊学園）を経て、1926年に東京帝国大学（現東京大学）文学部社会学科を卒業します。その後、日本の会計学の泰斗である太田哲三の招きを受け、東京大学経済学部へ学士入学。会計専門誌の編集に携わりながら、会計学の基礎を徹底的に学びました。1928年に卒業すると、中央大学教授に就任。会計学と経済学の講義を担当し、教育者としてのキャリアをスタートさせます。

輝かしい経歴：教育者・研究者として

黒澤氏のキャリアは華々しいものでした。1937年には横浜高等商業学校（現横浜国立大学の前身校の一つ）教授に就任し、1949年には東北大学教授を兼任。同年、横浜国立大学教授となり、会計学と経営学の講義・演習を担当。さらに、経済学部学部長、学長を歴任（～1968年）し、大学運営にも大きく貢献しました。

1968年には獨協大学経済学部教授に転じ、学長も務めます。学外活動も活発で、日本会計学会理事、日本会計研究学会理事長・会長・名誉会長、企業会計審議会会長などを歴任。1975年には日本原価計算研究学会会長、1978年には社団法人日本経営管理協会会長、財団法人産業経理協会会長にも就任するなど、その活動は多岐に渡りました。

企業会計原則の父：日本の会計基準確立への貢献

黒澤清の名を不滅のものとしたのは、経済安定本部における企業会計審議会での活躍です。審議会の中心メンバーとして活躍し、日本の企業会計原則の確立に多大な貢献を果たしました。その功績から、「企業会計原則の生みの親」として広く知られています。彼の尽力により、日本の企業会計は透明性を高め、国際的な基準に近づき、日本の経済発展の礎を築きました。

膨大な著作：会計学の体系化への貢献

黒澤清は、教育者、研究者としてだけでなく、多産な著作活動でも知られています。商業簿記から高度な会計理論まで、幅広い分野を網羅した著書は、日本の会計学の発展に大きく貢献しました。主な著書として、『商業簿記の常識』『会計学全集』『近代会計学』『財務諸表論』『解説企業会計原則』など、多数の書籍が挙げられます。これらの著作は、多くの会計学徒のバイブルとなり、日本の会計教育の向上に貢献しました。共著、編著も多数手がけており、その著作数は百冊を超えると言われています。

死後も色褪せない功績

1990年3月30日、心不全のため87歳で逝去。しかし、黒澤清の功績は、日本の会計学、経済界に不滅の足跡として刻まれています。彼の業績は、今日の日本の会計制度の基礎を築き、現代の会計学の発展に多大な影響を与え続けています。彼の残した膨大な著作と、日本の会計基準確立への貢献は、後世に引き継がれ、未来の会計学の発展を照らし続けるでしょう。

もう一度検索