黒田吉益

黒田吉益博士：日本の地球科学を牽引した巨星

黒田吉益博士（1927年1月1日-2021年1月4日）は、日本の地球科学、特に岩石学と地球化学の分野において、卓越した功績を残した研究者です。東京教育大学（現筑波大学）にて理学博士号を取得後、信州大学教授を歴任し、同大学名誉教授の称号を得ました。その専門知識と指導力により、日本の地球科学の発展に大きく貢献しただけでなく、国際的な研究協力にも積極的に取り組みました。

輝かしい経歴と学術への貢献

九州大学理学部地質学科を卒業後、東京教育大学理学部助手、信州大学理学部教授へとキャリアを積みました。教授時代には、多くの学生を指導し育成することで、日本の地球科学分野における人材育成にも大きく貢献しました。また、日本地質学会会長、日本学術会議会員（第4部）といった要職を歴任し、日本の地質学界をリードする存在として活躍しました。

博士の研究は、岩石の成因や地球内部の物質循環といった地球科学の根幹をなす重要なテーマに焦点を当てていました。その研究成果は、数多くの論文や著書にまとめられ、国内外の研究者から高く評価されました。特に、偏光顕微鏡を用いた岩石鉱物の分析に関する研究は、地質学研究に大きな影響を与えました。代表的な著書として、『偏光顕微鏡と岩石鉱物』（共立出版）や『水素同位体比から見た水と岩石・鉱物』（共立出版）などがあり、これらの書籍は長年にわたって地学を学ぶ学生や研究者にとって必携の書となっています。

国際貢献と国際科学技術協力賞

黒田博士は、国際的な研究協力にも積極的に取り組みました。国際協力事業団（現JICA）の技術援助プロジェクトの一環として、多数の日本人研究者を中国科学院地質与地球物理研究所へ派遣し、技術協力や共同研究を推進しました。この活動は、日中の地球科学研究の発展に大きく貢献し、2002年には中華人民共和国から「国際科学技術協力賞」を受賞するという栄誉に輝きました。これは、日本の研究者としての国際的な貢献が大きく評価された証です。

教育者としての顔と社会への関与

黒田博士は、優れた研究者であると同時に、熱心な教育者でもありました。多くの学生を指導し、彼らが将来、地球科学分野で活躍できるよう、惜しみない指導とサポートを行いました。また、「九条科学者の会」呼びかけ人として、科学者の社会的責任についても深く関与していました。

研究者としての軌跡と未来への影響

2021年1月4日、肺癌のためご逝去されました。享年94歳でした。黒田吉益博士の逝去は、日本の地球科学界にとって大きな損失でした。しかしながら、博士が残した数々の研究成果や教育活動は、未来の地球科学研究者たちに大きな影響を与え続け、その功績は永遠に語り継がれるでしょう。博士の研究は、地球科学の進歩に多大なる貢献をし、後世の研究者たちに大きな足跡を残しました。その功績は、今後も日本の地球科学、ひいては世界的な地球科学の発展に貢献し続けるでしょう。

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