黒衣

黒衣（くろご）について

黒衣は、日本の伝統芸能、特に歌舞伎や人形浄瑠璃において重要な役割を果たす存在です。彼らは観客の目には映らないという約束のもと、舞台上で役者や人形遣いを補佐し、物語が円滑に進行するよう手助けをしています。黒衣とは、主に黒い衣装を身にまとった人物のことで、作業の内容や状況によって役割は多岐にわたります。このように、彼らの存在は舞台の舞台裏を支える影の立役者ともいえるでしょう。

黒衣の種類

歌舞伎の黒衣には主に二つのタイプがあります。ひとつは役者が行う黒衣で、もうひとつは大道具担当が行う黒衣です。

役者がなる黒衣

このタイプの黒衣は、主に役者が黒装束を着用し、舞台上の他の演者をサポートします。役割としては、衣装の早替え、化粧の直し、道具の準備や受け渡し、さらには不要なものや死体の撤去などがあります。また、差金（さしがね）の先につけた動物や魂の道具を操ることもこの役割の一環です。通常、これらの黒衣を担当するのは介添え役をする役者の弟子や、出演していない脇役です。

大道具方がなる黒衣

一方、大道具担当の黒衣は、舞台装置の操作を行います。この黒衣は、幕を撤去したり、背景を変更したりするチームの一員として活動します。

色違いの黒衣

時には、黒衣が目立ってしまう場面もあります。そのため、色違いの黒衣も存在します。例えば、海や水辺のシーンでは青装束の波衣、雪のシーンでは白装束の雪衣が使用されます。これにより、舞台の演出がより一層引き立てられます。

黒衣と現代語

「黒衣」や「黒子」という表現は、現代においては「表に出ない者」や「裏方に徹する者」という意味でも使われています。これにより、演劇の舞台に限らず、さまざまな分野で見えない存在の重要性が認識されるようになりました。

関連項目

• - 心中天網島: 1969年に公開された映画で、黒衣の活躍が描かれています。
• - おちょやん: NHKの連続テレビ小説で、黒衣として登場したキャラクターにより、黒衣という存在に新たな光が当てられました。

まとめ

黒衣は舞台芸術の背後にいる重要な存在であり、彼らの役割があってこそ、観客は息を呑むようなパフォーマンスを楽しむことができます。正確かつ巧みに動く彼らの姿には、舞台芸術の魅力と、見えないところで支える力強さが詰まっています。

もう一度検索