黒金泰美

黒金泰美の生涯と業績

黒金 泰美（くろがね やすみ、1910年11月25日 - 1986年10月11日）は、日本の政治界に大きな足跡を残した大蔵官僚兼政治家です。山形県米沢市に生まれ、旧制武蔵高校を卒業後、東京帝国大学法学部に入学しましたが、大学在学中に肺結核を患い、4年間の療養を余儀なくされました。この影響もあり、彼は大学卒業に通常の倍の時間を要しましたが、1935年に卒業し、大蔵省へと進みました。

大蔵省に入省後、黒金は理財局に配属され、その後は大蔵大臣の秘書官として津島寿一、池田勇人両氏に仕えました。父の死を機に彼には多くの信頼できる先輩たちが立ち上がり、特に池田氏の支援を受けて政治の道に進むことになりました。

1952年、仙台国税局長を務めていた時に、池田から政治家への転身を勧められ、大蔵省を退職します。同年10月に行われた衆議院議員総選挙では、自民党の候補として旧山形1区から出馬し、見事当選を果たしました。この選挙には同じく後に著名な政治家となる福田赳夫や植木庚子郎などが当選しており、彼らとともに「三羽ガラス」として知られました。

黒金は1992年までに9回連続で当選を果たし、その政治力が評価されていきます。1962年、彼は池田内閣の内閣官房長官に就任し、更なる成長が期待されました。しかし、その後1964年に発生した偽造文書事件が彼の政界キャリアに暗い影を落とします。

この事件は友人である貸しビル業の経営者が、黒金から預かっていた印鑑を使用し、偽保証書を作成したことから始まりました。この問題が公に露見し、彼は支持者からの信頼を失う結果となりました。その後1970年代の選挙では一度落選も経験しましたが、1972年の補欠選挙で議席を取り戻します。その後は金融問題調査会長に就任するも、1976年の総選挙では再び落選を喫しました。

健康面においては、1990年代に食道がんを診断され、入院と治療を余儀なくされました。1986年に心不全で永遠の旅路へと旅立ちは75歳でありました。

黒金泰美は政治家として多くの業績を残しながらも、彼の生涯には様々な波乱があったことを否定できません。著書もいくつか出版しており、特に『わが国の財政と金融との実情 昭和22年度の回顧と将来の展望』や『税金の話』などがその一例です。彼の政治活動は今なお多くの人々に語り継がれています。

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