鼻涙管閉塞

鼻涙管閉塞（びるいかんへいそく）

鼻涙管閉塞は、涙の通り道である鼻涙管が閉じてしまう状態を指します。この状態には先天性と後天性の2つがあり、最も顕著な症状として「流涙症」が挙げられます。これは、正常な涙の流れが妨げられるため、涙が過剰に分泌されることを意味します。

症状

鼻涙管閉塞の最も一般的な症状は、異常な流涙です。この症状は急性または慢性の感染を伴うことが多く、さらに、涙嚢炎の兆候として、鼻の横に痛みを感じることがあります。後天性のものは特に年齢が高くなるにつれて見られがちで、統計的には女性に多く見受けられます。

原因

先天性

先天性鼻涙管閉塞は、赤ちゃんが生まれたときに涙管が未発達または完全に開いていないことから生じます。子供の約6%に見られるこの状態は、泣いていないときでも涙が溢れるなどの症状を引き起こし、二次感染を伴うと膿が出ることがあります。しかし、96%のケースは1歳までに自然に治癒します。

後天性

後天性の鼻涙管閉塞は年齢やその他の要因により発生します。特に、高齢者に多く見られるため、適切な診断と対処が必要です。

診断

色素消失試験

鼻涙管閉塞を効率よく診断するための方法として「色素消失試験」があります。これは、フルオレセインという染料を両眼に注入し、涙の流れを観察するものです。5分間染料が残存している場合は、該当側の鼻涙管が閉塞していることを示唆します。

涙管通水検査

もう一つの方法が「涙管通水検査」です。この検査では、特別なカニューレを通して生理食塩水を涙点から涙嚢に通します。生理食塩水が無事に鼻側に逆流せずに通過する場合は、鼻涙管は正常に機能していると言えます。一方で、液体が通過せずに戻ってくる場合は、何らかの閉塞が考えられます。

治療

保存的治療

先天性の鼻涙管閉塞については、多くの場合、特別な治療を行わなくても自然に治ることが一般的です。ただし、結膜炎を引き起こすようであれば、抗菌薬が処方されることがあります。また、涙嚢のマッサージが治癒率を向上させることがあるため、試みる価値があります。マッサージによって閉塞を解除するための静水圧を生み出します。

手術

生後12ヶ月を過ぎても症状が続いたり、重篤な場合や繰り返し感染を起こす場合には、眼科専門医に紹介されます。先天性鼻涙管閉塞開放術（プロービング）が行われることが多いですが、この手術は患者の年齢によって麻酔の方法が変わります。手術の成功率は年齢が若いほど高く、場合によってはシリコンチューブやステントも使用されることがあります。

まとめ

鼻涙管閉塞は、涙の流れが阻害されることで引き起こされる症状で、先天的および後天的な原因によって生じます。適切な診断と治療が重要であり、特に小児の場合は、早期の介入が治療の成功に繋がります。

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