齋藤ゆみ

齋藤ゆみ

日本の看護学界において重要な役割を担う齋藤ゆみ（さいとう ゆみ）氏は、1948年に生まれました。長年にわたり看護師としての臨床経験を積むとともに、教育・研究者としても精力的に活動を展開しています。特に感染予防や院内感染問題に関する研究で知られ、その専門知識は多くの看護師や医療従事者に影響を与えています。

経歴と学歴

齋藤氏の学問的なキャリアは、1970年に東京大学医学部附属看護学校を卒業したことから始まります。ここで看護の基礎と実践を修得した後、1982年には慶應義塾大学文学部を卒業し、看護学とは異なる分野の視点も取り入れました。同年、千葉大学大学院看護学研究科の修士課程に進学し、集中的な研究活動を開始します。1984年に同課程を修了し、看護学修士の学位を取得。修士論文では、「小児の急性リンパ性白血病寛解導入期に見られる呼吸器症状とCMV感染症に関する研究」という、臨床的課題に根ざしたテーマに取り組みました。

さらに学術的な探求を深めるため、1995年から1998年にかけて自治医科大学大学院医学研究科の研究員として在籍。ここで医学分野の研究に触れ、後の博士研究へと繋がる重要な期間を過ごしました。

職務経験

教育者としてのキャリアは、自治医科大学看護短期大学での勤務からスタートしました。講師、そして助教授として、次世代の看護専門職の育成に携わります。その後、教育・研究活動の場を移し、京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻の教授に就任。2011年まで京都大学で教鞭を執り、高度な研究指導と看護学の発展に貢献しました。京都大学退職後、現在は獨協医科大学大学院看護学研究科の特任教授として、その豊富な知識と経験を活かし、引き続き教育・研究活動に尽力しています。

学位と研究テーマ

齋藤氏は、1984年に千葉大学から看護学修士（第40号）を授与されています。修士論文では、小児の急性リンパ性白血病治療における特定の時期に観察される呼吸器症状とサイトメガロウイルス（CMV）感染症との関連性について詳細な研究を行いました。

さらに、自治医科大学にて博士（医学）（学位授与番号：乙第365号）の学位を取得しています。この際の学位論文のテーマは「院内感染問題の研究」であり、医療現場における感染制御という、看護学の実践と公衆衛生の双方にとって極めて重要な課題に取り組みました。この博士研究は、その後の齋藤氏の研究活動の中心をなすものとなりました。

学会活動と著作

専門分野における活動として、日本環境感染学会や日本補完代替医療学会といった学術団体に所属し、研究成果の発表や情報交換を通じて、それぞれの分野の進歩に貢献しています。

また、研究成果や実践に基づいた知識は、共著という形で書籍としても結実しています。主なものとして、2001年に菜根出版から刊行された『介護と看護のための感染症予防 安心できる医療や福祉のために』（切替照雄氏、中野昌康氏と共著）があります。これは、介護や医療現場における感染リスクを低減するための具体的な知識と方法を提示する、実践的な手引書です。また、2004年にヌーヴェルヒロカワから出版された『考える基礎看護技術Ⅱ』（坪井良子氏、松田たみ子氏編集）では、第15章「感染予防」を分担執筆しており、基礎看護技術の教育においても感染管理の重要性を説いています。

これらの活動を通じて、齋藤ゆみ氏は看護学の研究と教育、特に感染制御の分野において、長年にわたり多大な貢献を続けています。その業績は、多くの看護専門職にとって貴重な指針となっています。

齋藤 ゆみ【教員データ】 - 獨協医科大学大学院看護学研究科

齋藤 ゆみ - researchmap

もう一度検索