龍ケ崎コロッケ

龍ケ崎コロッケ：地域を繋ぐ、愛されご当地グルメの物語

龍ケ崎コロッケは、茨城県龍ケ崎市のイベントや飲食店で提供されているご当地コロッケです。地域団体商標の登録申請では「龍ケ崎市内で生産されるコロッケ」「龍ケ崎市におけるコロッケの提供」と定義されています。ここでは、龍ケ崎コロッケがどのようにして誕生し、地域に根付き、愛される存在になったのかを紐解きます。

衰退からの脱却、そして誕生

龍ケ崎市はかつて商業都市として栄えましたが、郊外型大型店舗の進出により、商店街は衰退の一途を辿っていました。そんな状況を打破しようと、2000年以降、「龍ケ崎市中心市街地活性化基本計画」に基づく事業が展開されます。

その一環として、2001年、龍ケ崎市商工会女性部が、子供たちに「まいんコロッケ」を提供します。当初はメンバーが食材を持ち寄り、1個5円で販売されました。この「まいんコロッケ」が、地域活性化のきっかけとなります。

まちおこしへの貢献

「まいんコロッケ」は、メディアに取り上げられる機会が増え、龍ケ崎のイメージ向上に貢献しました。2003年には、商店街の飲食店などが集まり「コロッケクラブ龍ケ崎」が発足。各店舗が手作りコロッケを提供するようになります。

この時点では、コロッケの作り方や味に決まりはなく、「龍ケ崎市内にある店舗で提供される手作りコロッケ」が「龍ケ崎コロッケ」とされていました。フリーマーケットや高校生コロッケコンテストなどのイベントも開催され、地域内外への認知度向上に努めました。

模索と新たな挑戦

しかし、手作りコロッケは手間がかかる割に利益が出にくいため、販売から撤退する店舗が増加。2011年には加盟店舗数が大幅に減少します。イベントの開催も困難になり、コロッケクラブ龍ケ崎の活動は停滞気味になります。

そこで、コロッケクラブ龍ケ崎は組織の若返りを図り、大型店の参入や「手作り」の制限撤廃など、新たな試みに挑戦します。また、美味しいコロッケの研究・開発を行う勉強会を開催し、地元食材を使ったコロッケの開発が進められました。

その結果、米粉クリームコロッケが誕生します。これは、龍ケ崎市で多く生産されている米を使用しており、地産地消にも貢献するものでした。各店舗の個性を尊重し、レシピや材料は自由とされました。

グランプリ獲得、そして再生へ

2014年、米粉クリームコロッケが「第2回ご当地メシ決定戦2014」でグランプリを獲得。龍ケ崎コロッケの知名度は全国区となり、地域住民の認知度と評価も高まりました。

グランプリ獲得後、多くの店舗が米粉クリームコロッケを取り扱うようになり、龍ケ崎市からの補助金も支給されるようになります。広報活動の充実やメディア露出の増加により、コロッケクラブ龍ケ崎への新規入会店舗も増加しました。

地域への定着

2015年以降は、龍ケ崎コロッケと関東鉄道竜ヶ崎線の連携が進められ、一日乗り放題のフリー切符や「コロッケトレイン」の運行などが行われました。地域全体で龍ケ崎コロッケを盛り上げる取り組みが展開されています。

龍ケ崎コロッケは、単なるご当地グルメとしてだけでなく、地域を繋ぎ、活性化させるシンボルとしての役割を担っています。その背景には、地域の人々の熱意と努力がありました。これからも龍ケ崎コロッケは、龍ケ崎市の魅力を発信する存在として、地域に根付き、愛され続けることでしょう。

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