龍飛 (張璉)

龍飛（りゅうひ）は、明代に張璉が自立した際に用いられたとされる私年号です。しかし、この年号は史実として確証されておらず、その存在自体が疑われています。

龍飛の登場

龍飛という年号は、張璉という人物が明代に自立した際に使用したとされています。しかし、その使用期間や具体的な根拠となる史料は明確ではありません。この年号の存在が示唆されるのは、主に以下の史料における記述です。

李兆洛『紀元編』: 李兆洛の著書『紀元編』は、『紀元韻叙』を根拠として龍飛の存在を指摘しています。
毛奇齢『後鑑録』: 毛奇齢の『後鑑録』には、張璉が所有していたとされる「飛龍伝国元宝」という国璽についての記述があります。この国璽の存在が、龍飛という年号を裏付ける根拠として誤解された可能性があります。

龍飛に対する批判的な見解

龍飛という年号の存在については、多くの研究者から批判的な見解が示されています。

李崇智の研究: 李崇智は、『中国歴代年号考』の中で、李兆洛が『紀元編』で龍飛を年号として挙げているのは、『紀元韻叙』に依拠していると指摘しました。さらに、毛奇齢が『後鑑録』で「飛龍伝国元宝」の国璽について触れていることから、この国璽と年号が混同された可能性を示唆しています。李崇智は、これらの史料を詳細に検証した結果、龍飛という年号は実在しなかったという結論に至りました。つまり、龍飛は国璽に関する記述が誤って解釈された結果、年号として認識された可能性が高いとされています。

結論

龍飛は、明代に張璉が使用したとされる私年号ですが、その実在は疑わしいというのが現状です。研究者の多くは、史料の誤読や誤解によって生まれた架空の年号であると考えています。したがって、龍飛は歴史的な事実に基づいた年号ではなく、史料解釈上の誤解によって生じた概念であると理解するのが適切でしょう。この年号については、今後の新たな史料の発見や研究の進展によって、新たな解釈が生まれる可能性も否定できません。

出典

万光泰『紀元韻叙』

参考文献

李崇智　『中国歴代年号考　修訂本』（北京：中華書局，2001年1月） ISBN 7101025129　216 - 217ページ。

関連項目

他政権の龍飛

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