0の奏香師

『0の奏香師』（ゼロのそうこうし）は、由貴香織里氏によって描かれた全3話からなる日本の漫画作品です。本作は、『花とゆめプラス』（白泉社）の2004年9月15日号と2005年10月25日号、そして『別冊花とゆめ』（同）の2006年7月号に掲載されました。

あらすじ

物語の中心となるのは、どんな匂いでも嗅ぎ分けることができる特殊な能力を持つ調香師の高校生、斎川奏（さいかわ かなで）。彼はその卓越した嗅覚を駆使し、「香り」を重要な手がかりとして、様々な難事件に挑んでいきます。顧客の娘が巻き込まれた失踪事件など、一筋縄ではいかない事件の真相を、奏はどのようにして解き明かしていくのでしょうか。

登場人物

斎川 奏（さいかわ かなで）

本作の主人公。類まれなる嗅覚を持つ調香師であり、その才能は幼少の頃から際立っていました。ヴェルサイユの国立フレグランススクールへの留学経験を持ち、調香師としての技術と知識を磨き上げました。現在では、どんな微かな匂いも嗅ぎ分けることができます。

しかし、その鋭すぎる嗅覚ゆえに、日常生活には様々な制約があります。体臭を出さないためにミネラルウォーターしか口にせず、様々な匂いが混ざり合う人ごみや雑踏を極端に苦手とし、外出時には防毒マスクのようなものを装着しています。これは、彼の繊細な感覚を守るための自衛手段なのです。

また、奏の家は祖母が営む合気道道場であり、幼い頃には自身も厳しい稽古を受けていました。しかし、叔父の跡を継いで調香師の道を選ぶ際、「二度と技を使わない」という誓約書を書かされたという過去があります。この誓約が、物語の中でどのように影響してくるのかも注目すべき点です。

アナイス

フランス人の少女で、奏とは血の繋がらないいとこにあたります（奏の叔母の夫〔フランス人〕の連れ子）。日本で育ったため、日本語しか話すことができません。金髪碧眼の美少女であり、その容姿は周囲の目を引きます。

性格は非常に負けず嫌いで、一度決めたことは最後までやり抜く強い意志を持っています。幼い頃は虚弱体質で、香水かぶれを起こしてしまうほど肌が弱かったのですが、祖母の道場で合気道を始めたことがきっかけで体質が改善され、今では必要以上に健康体になってしまいました。合気道を通じて得た体力と精神力は、彼女の性格形成にも大きな影響を与えています。

関連事項

本作は「香水」というアイテムが重要な要素として登場します。香りは、単なる匂いとしてだけでなく、記憶や感情を呼び起こす triggers としても機能し、物語の展開に深く関わってきます。香水の知識や香りの描写に注目することで、より深く作品を楽しむことができるでしょう。

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