0の決死圏

映画『0の決死圏』の魅力

『0の決死圏』（ぜろのけっしけん、原題：The Chairman）は、1969年に制作されたアメリカ・イギリス合作の映画で、スパイサスペンスの要素が色濃く反映されています。この作品は、世界の舞台となる中国を背景に、ノーベル賞を受賞した科学者の危険なミッションを描いており、監督はJ・リー・トンプソン、主演にはグレゴリー・ペックが起用されています。日本でのビデオタイトルは『ゼロの決死圏』です。

あらすじ

物語は、アメリカの優れた科学者ジョン・ハサウェイ博士（演：グレゴリー・ペック）が、中国での任務に招かれるところから始まります。彼はシェルビー中将の命を受け、表向きは旧友であるリー教授に会いに行くことになっていますが、実はその真の理由は、リーが発見した画期的な酵素の秘密を知ることにあります。

当時アメリカと中国は国交がなかったため、ハサウェイは最初に香港に向かい、そこで中国人美女チン・リンとの出会いが彼に影響を与えます。竹のカーテンの向こう側に潜入した彼は、保安部長イン（演：エリック・ヤング）の協力を得て、リー教授の娘であるチュー（演：フランシスカ・ツー）と接触。最終的には毛沢東主席との面会にも成功し、リーの研究を手伝う許可を得ることになります。

研究活動が進む中で、ハサウェイとチューの間には次第に愛情が芽生えていきます。しかし、彼には秘密があり、アメリカから中国へ向かう際に頭部に小型発信機が埋め込まれていたのです。この発信機により、ハサウェイはシェルビーにリアルタイムで情報を送信していました。

ところが、ある日、リー教授が急死するという衝撃的な事態が発生し、状況は一変します。ハサウェイは自身の身の安全が脅かされ、急いで酵素に関する極秘のマイクロフィルムを持って脱出を図ろうとするのですが、彼の行動には様々な困難が立ちはだかります。

キャスト

本作の魅力は、何と言ってもキャスト陣にあります。ジョン・ハサウェイを演じるグレゴリー・ペックは、圧倒的な存在感を示し、彼が持つ知性や情熱を見事に表現しています。また、チュー役のフランシスカ・ツーや、シェルビー中将役のアーサー・ヒルもそれぞれの役柄にふさわしい演技を見せ、物語に深みを与えています。さらに、毛沢東役を演じるコンラッド・ヤマは、当時の中国を象徴する人格を巧みに演じています。

終わりに

『0の決死圏』は、単なるスパイ映画にはとどまらず、科学と愛情、そして国際関係が交錯する複雑なドラマが展開されます。そのストーリーやキャスト、制作当時の社会背景などを考慮すると、未だに観るべき価値のある作品といえるでしょう。今なお色あせることのないメッセージを持った本作は、特にスパイ映画やサスペンス映画ファンにはおすすめです。

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