0分00秒

0分00秒 (れいふんれいびょう、0'00")

ジョン・ケージによって1962年に発表された「0分00秒」は、音楽の定義を再考させる独特な作品です。この作品は東京の草月ホールで初演され、ケージ自身によって演奏されました。

概要

楽譜の特徴として、言葉による指示書の形式が取られており、標題の下には「独奏として誰が何をしてもよい」と書かれています。しかし、この指示に関しては誤解が生じやすいため、注意が必要です。演奏者は「ある習熟した行為」を行うことが求められます。具体的には、字を書く、歯を磨く、タバコを吸うなどの、0秒で終了できる日常的な行為に適応されています。

興味深い点は、次回の演奏で既に行ったことのある行為を選んではいけないという制約です。これにより、毎回異なる体験が提供され、演奏者に予測不可能な要素が生まれます。また、音楽的または演劇的な動作は避ける必要があり、聴衆は電子的な状況に集中させられるよう配慮されています。

演奏の背景

初演の際、ケージは眼鏡や万年筆、灰皿などにコンタクトピックアップを取り付けていました。彼はタバコを吸ったり水を飲んだりしながら演奏したことで、その日常行為から生まれる微細な音が電気的に増幅され、会場全体に響き渡りました。こうした彼のアプローチは、音楽のパフォーマンスが必ずしも楽器を使った演奏だけに限らないことを示しています。

1990年代には、ドイツのデッテンハウゼンでの演奏例として、指揮者のいる室内オーケストラが本当に何も演奏せずに0分00秒で終わったというものがあります。この際、聴衆の要求に応じてその後に「なんらか」の演奏を行った記録も残されていますが、この解釈はかなりの誤解を伴うものといえるでしょう。

出版と誤解

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