091型原子力潜水艦

091型原子力潜水艦の概要

091型原子力潜水艦（09-1型、長征1号級）は、中国人民解放軍海軍により1970年代から運用されている攻撃型原子力潜水艦です。この艦のNATOコードネームは、「漢級」として知られています。これは、漢王朝に由来するもので、同級艦は中華人民共和国の潜水艦開発の初期段階を象徴する存在です。

設計

艦体

091型の艦体は涙滴型で、複層構造を採用しています。3番艦以降、艦体が8メートル内延長されており、これは主に航走中の雑音を低減するための設計変更と考えられています。通常、これらの潜水艦は魚雷発射管を装備していますが、垂直発射管を搭載しているとの噂がありました。しかし、実際には水平方向の発射管から魚雷が発射されます。音圧レベルにおいて、401号艦と402号艦は160～170デシベルとされ、初期の原子力潜水艦と同等の静粛性を持っていますが、403号艦以降は140～150デシベルと改善が見られました。それでもなお、アメリカ海軍や海上自衛隊による探知が容易な状態にあります。

機関

091型の主機には、加圧水型原子炉を用いたターボ・エレクトリック方式を採用していますが、これは陸上用原子炉を改良して潜水艦用に導入したため、構造上の問題に起因する放射能漏れが頻発しました。艦は1974年に就役しましたが、約10年間は実際の運用が難しい状態にありました。このため、潜水艦乗員の健康管理を目的とした専用の病院「海軍409核傷専科医院」が設立されました。

運用

中華人民共和国は、1950年代後期から原子力潜水艦の開発に着手し、1980年代には4隻の潜水艦が続けて就役しました。長征1号（401号艦）を皮切りに、006号艦を含む本型艦は北海艦隊（青島）に配備されましたが、歴史の中で複数回の放射能漏れを経験しています。長征1号は、退役後も艦籍には残り、2003年には予備艦となり、2013年に正式に退役しました。特に、2004年に漢級潜水艦がグアム近海で領海侵犯を行った際には、海上自衛隊により探知・追跡された事件がありました。

現在の状況

現在、091型原子力潜水艦は、全体で5隻建造されているものの、すでに2隻が退役し、現在稼働可能な艦は3隻のみです。2017年には、「長征1号」が中国人民解放軍海軍博物館に展示されることが報道されており、その歴史的価値が注目されています。

同型艦

091型潜水艦は、さまざまな改良案やバリエーションが提案されていますが、基本的な設計は長い年月にわたり変わっていません。特に夏型潜水艦は、艦体の延長により潜水艦発射弾道ミサイル（SLBM）を搭載することが可能ですが、実際には1隻しか建造されていないため、出港の機会は非常に限られています。

登場作品

091型潜水艦は、架空の作品『天空の富嶽』に登場しています。この作品では、海上自衛隊と交戦する過程で、長征2号が撃沈されてしまうシーンが描かれています。

脚注

091型原子力潜水艦に関する詳細情報は、ウィキメディア・コモンズやGlobalSecurityなどで確認することができます。

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