1 〜ONE〜

ゆずの代表作『1 〜ONE〜』：生命をテーマにした13の物語

2004年9月15日、セーニャ・アンド・カンパニーより発売されたゆずの6枚目のオリジナルアルバム『1 〜ONE〜』は、同年のゆずの活躍を象徴する作品と言えるでしょう。

このアルバムには、2003年10月発売の19thシングル「歩行者優先」、2004年6月発売のトリプルA面シングル「桜木町/シュミのハバ/夢の地図」、そして国民的ヒットとなった21stシングル「栄光の架橋」など、計5曲ものシングル曲が収録されています。これらの楽曲に加え、アルバムのために書き下ろされた楽曲たちが、聴く者の心を揺さぶる、バラエティに富んだ内容となっています。

アルバム全体のテーマは「生」と「命」。それぞれの楽曲が、人生の様々な局面、喜びや悲しみ、希望や絶望といった感情を繊細に表現しています。そして、それらは決して暗く沈んだものではなく、むしろ生命の輝き、力強さ、そして未来への希望を力強く歌い上げています。

音楽的な面でも『1 〜ONE〜』は大きな注目を集めました。特に、アレンジには音楽プロデューサーの松任谷正隆が初参加。特に「桜木町」のイントロは、北川悠仁からの楽曲イメージを聞いた松任谷正隆が即興でピアノを弾いたもので、その場で完成したメロディーは、関係者を驚かせたというエピソードが伝えられています。

アートワークは、ゆずの4thアルバム『ユズモア』に引き続き、現代美術家の村上隆が担当。独特の世界観とアルバムのテーマを見事に融合させた、印象的なジャケットに仕上がっています。

『1 〜ONE〜』の発売は、ゆずにとって大きな転機となりました。発売初週には前作『ゆずスマイル』の売上を上回り、累計売上でも『すみれ』を超えるヒットを記録。このアルバムを引っ提げた2度の全国ツアー「体育館ツアー 2004 夢の地図」「体育館ツアー 2004 『1 〜ONE〜』」は、大盛況のうちに幕を閉じました。特に「1 〜ONE〜」ツアーでは、アルバム全曲が披露され、ファンの間で大きな話題となりました。「栄光の架橋」は、このツアーで初めてライブで披露された曲でもあります。

ツアーの模様は、『ゆず LIVE FILMS 夢の地図』と『ゆず LIVE FILMS 1 〜ONE〜』として映像作品化され、ファンの間で長く愛されています。

収録されている楽曲一つ一つにも、ゆずの音楽性とメッセージが凝縮されています。「わだち」「シュミのハバ」「桜木町」「白鳥」「ウソっぱち」「積み木ゲーム」「命果てるまで」「歩行者優先」「夏祭り」「蛍光灯の先」「夢の地図」「栄光の架橋」と、どの曲も聴き応えのある名曲揃い。さらに、多くの楽曲は、その後もベストアルバムなどに収録され、ゆずの代表曲として広く親しまれるようになりました。

多くのミュージシャンが参加し、完成度の高いサウンドを実現した『1 〜ONE〜』。その音楽は、今もなお多くの人々の心に響き渡り、ゆずの代表作として、日本の音楽史にその名を刻み込んでいます。

楽曲解説で触れられたように、「桜木町」は廃駅となった東横線桜木町駅を偲んで作られた曲であり、「白鳥」は北川悠仁の祖母を亡くした後に作られた曲であるなど、各楽曲にはゆずの深い想いが込められています。これらの楽曲の背景を知ることで、さらに深い感動を得ることができるでしょう。

『1 〜ONE〜』は、単なる音楽作品としてだけでなく、ゆずの歩み、そして生命の尊さ、未来への希望といった普遍的なテーマを深く考えさせてくれる、まさに「時代を象徴する名盤」と言えるでしょう。

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