1.44 (航空機)

MiG-1.44について

1.44は、ロシア空軍向けにミコヤン社が開発した第5世代ジェット戦闘機の概念実証機です。この機体は、ロシア語では製品1.44（Изделие 1.44）と呼ばれ、NATOのコードネームはフラットパック（Flatpack）となっています。アメリカが進める先進戦術戦闘機計画（ATF）に対抗するために設立された多機能前線戦闘機（MFI）計画に基づき、1.42のデモンストレーター機として開発されました。初飛行は2000年に行われましたが、ロシアの財政難や計画の頓挫により、その後の展開は思わしくありませんでした。

開発の背景

ソ連空軍は1981年にATF計画に対抗するため、MFI計画を発表しました。ミコヤン社はこの計画に参加し、独自に提案した戦闘機が1.42です。この1.42は、MFI計画の有力候補機として位置付けられ、さらに1989年に1.44の開発が開始されました。ところが、ソ連が崩壊し、ロシア政府がこれを引き継ぐ際に財政的な問題が生じ、計画が停滞してしまいます。1.44の初飛行は1995年に予定されていましたが、長い間の保管が余儀なくされました。

状況が悪化し、1997年にはMFI計画が正式に中止されましたが、ライバルであるスホーイ社が同年にSU-47を初飛行させたことで、ミコヤン社は急遽1.44の写真を公開しました。そして、2000年に初飛行に成功することとなりました。

その後の状況

初飛行後、1.44に関する情報はほとんど公開されませんでしたが、2013年にグロモフ飛行研究所で保管されていることが判明しました。状態は良好で、理論的には再び飛行することも可能とされていますが、必要な準備やリソースの観点から、実際には運用されていないとのことです。また、解体の計画はなく、維持に800万ルーブルの予算がかけられています。2015年には、MAKS航空ショーで初めて地上展示されました。

1.44の設計

1.44は、クロースカップルドデルタ翼形式の機体設計を採用しています。主翼の後退角は48度で、エルロンを兼ねたフラップを2枚装備しています。また、機体下部に舵面付きのベントラルフィンを持ち、空中機動性を高めています。エンジンにはAL-41Fターボファンエンジンを2基搭載し、これにより大きな推力を実現しています。エンジンは15度左右、8度上下に可動し、高い空中機動性能を示します。

さらに、1.44はステルス性にも配慮され、様々な工夫が施されています。可変面積式エアインテークはS字に曲げられ、インテーク内部や外装には電波吸収材が閲覧され、エンジンノズルには熱探知を避けるためにセラミックタイルが使用されています。武装につきましては、内部のウェポンベイにミサイルや爆弾が収納され、運用時のステルス性を確保しています。

スペック

• - 全長: 19.00 m
• - 全幅: 15.00 m
• - 全高: 4.50 m
• - 主翼面積: 90.5 m²
• - 空虚重量: 18,000 kg
• - 最大離陸重量: 35,000 kg
• - 最大速度: マッハ2.6 (2761.2 km/h)
• - 航続距離: 4,000 km
• - 実用上昇限度: 17,000 m
• - 乗員: 1名

武装

• - 固定武装: GSh-30-1
• - ミサイル: R-77、R-73/-74、R-37、Kh-29、Kh-31、Kh-55、Kh-61、P-270
• - 爆弾: KAB-500、KAB-500L、KAB-500KR、KAB-1500TK、ODAB-500P

登場作品

1.44はゲームや作品にしばしば登場します。特に『エアフォースデルタ』や『エースコンバットシリーズ』ではプレイヤー機として使用可能です。また、アニメ『絶対可憐チルドレン』にも似た機体が描かれています。

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