10 (RIP SLYMEのアルバム)

RIP SLYME|RIP_SLYMEの10枚目のアルバム『10』は、2015年9月30日にリリースされました。前作から2年ぶりとなるこのアルバムは、RIP SLYME|RIP_SLYMEが5人で発表した最後のオリジナルアルバムとなりました。

アルバムタイトル『10』は、10枚目のアルバムという意味と同時に、シンプルでデザインしやすいという意図も込められています。制作にあたっては、タイアップソング制作で新曲を次々と発表していたため、アルバム全体のコンセプトを練る時間的な余裕はなかったとのことです。

アルバムには、先行シングルとしてリリースされた「ピース」「POPCORN NANCY」「JUMP with chay」「この道を行こう」を含む全16曲が収録されています。収録曲は、RIP SLYME|RIP_SLYMEらしいカラフルでポップな楽曲が中心ですが、それぞれ異なるテーマやサウンドアプローチが試みられています。

RYO-Zは、アルバムについて「いつもポップだけど、さらにカラフルなアルバムになった」と語っています。PESは「昔とは違う歌い方や書き方をしているけど、根本は『FIVE』の頃と同じ。RIP SLYME|RIP_SLYMEって、世の中にないものなんだなって、聴いてて思う。いろんな意味でカウンター。今、他のアーティストがこの感じのアルバムを作れるかって言ったら作れないと思う」とコメントしています。

アルバム発売に先駆けて、レンタル限定盤『DIGEST 10』がリリースされ、秘密結社 鷹の爪とのコラボオーディオドラマが収録されました。

収録曲についていくつかご紹介します。

Powers of Ten: Charles & Ray Eames夫妻の映像作品「Powers Of Ten」からインスパイアされた楽曲。DJ FUMIYAは、メンバーに「血管が切れるくらいのテンションの高さでラップをしてくれ」と依頼したとのことです。
KINGDOM: 「自分たちのスタンス」をテーマにした楽曲。RYO-Zは「DJ FUMIYAの王国スタジオが俺たちのキングダム。ライブ会場でも僕らの音楽を聴けばそこが王国になるよってことを歌ってる」と語っています。
だいたいQuantize: 「対人関係」をテーマにした楽曲。難しく考えなくても意外と合っちゃうよね、ということを歌っています。SUは「音楽だと『だいたい』くらいのほうがグルーヴが出たりする。対人関係もカッチリ合ってるより、だいたいくらいのほうがノリがいいよっていう意味もある」と語っています。
気持ちいい for Men: サウンド&ワーズプロデュースをいしわたり淳治が担当。タイトルはいしわたりの発案で、ラップは韻を踏みつつ全部しりとりになっています。
Vibeman feat. 在日ファンク: 在日ファンクが参加した楽曲。テーマは「ヒーロー」。古いファンクのレコードからサンプリングしてトラックを作成しています。
メトロポリス: NHK Eテレ「秘密結社 鷹の爪 DO」エンディングテーマ。うしろシティのコントからヒントを得て、勘違いしたまんまでやっちゃおうぜ、というメッセージが込められています。
* 時のひとひら: イントロのつもりで作られた楽曲。PESは「時計の針音は最初から入っていたから、時間をテーマにした曲を書いてみようと」、RYO-Zは「人生は出会って別れてみたいなことだから、その中の子供が生まれた瞬間だけにフォーカスして書いた」と語っています。

『10』は、RIP SLYME|RIP_SLYMEの10年間と、これからの未来を感じさせる作品です。RIP SLYME|RIP_SLYMEの音楽をまだ聴いたことがないという方にも、ぜひ手に取って聴いていただきたいアルバムです。

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