10・15モード燃費

10・15モード燃費：日本の自動車燃費測定方法の変遷

かつて、日本の自動車の燃費表示は、一定速度での走行試験（定地燃費）に基づいていました。しかし、この方法は実際の走行状況を反映しておらず、特に市街地での走行では燃費の乖離が大きくなる問題がありました。そこで、より実態に即した燃費測定方法として登場したのが、10・15モード燃費です。

10・15モード燃費は、市街地走行を想定した10モードと、郊外走行を想定した15モードの走行パターンを組み合わせた測定方法でした。それぞれのモードは、加速、一定速度走行、減速といった様々な走行パターンをシミュレートしており、より複雑な走行状況を反映できるよう設計されていました。

10・15モード燃費の測定方法

10・15モード燃費の測定は、シャシダイナモ上で行われました。測定に先立ち、車両は3,000kmの慣らし走行を行い、測定時は完全暖機状態とされました。エアコンや搭載電気機器はオフ状態とされ、走行抵抗設定は車両重量に110kg（2名乗車分）を加えた条件で行われました。

10モードは、低速での加速と減速を繰り返す市街地走行を再現しており、20km/hと40km/hの速度を中心に走行パターンが設定されていました。一方、15モードは、より高速走行を含む郊外走行を再現しており、50km/h、60km/h、70km/hといった速度での走行パターンが含まれていました。

10モードと15モードそれぞれの測定結果は、それぞれ3回と1回行われ、それらの結果から平均燃費が算出されました。燃費の算出には、カーボンバランス法という方法が用いられ、車両から排出されるガス中のHC、CO、CO2の排出量から燃費が計算されました。

10・15モード燃費の限界とJC08モードへの移行

10・15モード燃費は、定地燃費に比べて実際の走行状況を反映していましたが、それでも実際の燃費との間に差がありました。例えば、車両重量の違いやオプション装着による重量増加が燃費に影響を与えるなど、測定方法の精度の限界も指摘されていました。また、アイドリングストップ機能を持つ車両では、アイドリング時の燃料消費が極端に少なくなるため、燃費が実際よりも高く表示されるという問題もありました。

これらの問題点を踏まえ、2011年4月からは、より正確で国際基準に適合したJC08モードが新たな燃費測定方法として採用されました。JC08モードは、より複雑で多様な走行パターンを含んでおり、実際の走行状況をより正確に反映した燃費測定が可能となりました。

まとめ

10・15モード燃費は、日本の自動車燃費測定方法として長年使用されてきましたが、その精度の限界や実際の燃費との乖離から、JC08モードに置き換えられました。10・15モード燃費は、自動車の燃費表示の歴史において重要な役割を果たしましたが、より正確な燃費測定へのニーズの高まりとともに、その役割を終えました。現在では、JC08モードやWLTPといった、より精度の高い測定方法が用いられています。

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