10番街 (マンハッタン)

マンハッタンの動脈：10番街とアムステルダム・アベニュー

ニューヨーク市マンハッタンのウエストサイドを南北に貫く10番街は、その一部区間でアムステルダム・アベニューという名前に変わる主要道路です。59丁目より北ではアムステルダム・アベニューとなり、129ブロックに渡りマンハッタン島を縦断します。一方通行区間や両方向通行区間が混在する複雑な構造を持ち、その歴史と地理的特徴、そして大衆文化における存在感を通して、この大通りを多角的に見ていきましょう。

地理的特徴：複雑な道筋と街の変遷

10番街の南端はウエスト・ヴィレッジ/ミートパッキング・ディストリクト付近に位置し、14丁目より南は南行き一方通行となります。14丁目より北上すると、西59丁目までは北行き一方通行が続きます。西59丁目からはアムステルダム・アベニューへと名称が変わり、カセドラル・パークウェイまでは北行き一方通行が続きますが、カセドラル・パークウェイを超えると両方向通行となります。

アムステルダム・アベニューは、190丁目付近でフォート・ジョージ・アベニューと名前を変え、ハイブリッジ・パークによって一時的に途切れた後、再び10番街としてマンハッタン島の北端まで続きます。ハイブリッジパーク付近の184丁目から186丁目は、イェシーバー大学のキャンパスに面し、道路幅が狭まる区間として知られています。マンハッタン最北端付近でブロードウェイと交わる地点は、この通りの北端であり、ここからすぐ先にブロードウェイ橋がブロンクスへと続きます。

歴史：労働者街から高級住宅街へ

10番街とアムステルダム・アベニューは、チェルシー、ヘルズ・キッチン、アッパー・ウエスト・サイド、ハーレム、ワシントンハイツといったマンハッタンの様々な地区を貫いています。20世紀の大半は労働者階級や貧困層の居住区でしたが、20世紀初頭には商業車両や鉄道線が運行していました。19世紀にはウエストサイド線が通りに沿って走り、「10番街カウボーイ」と呼ばれる人々が、馬に乗って路面電車の接近を知らせていたという歴史もあります。

「アムステルダム・アベニュー」という名称は、かつてオランダ領であったニューヨークの旧称「ニューアムステルダム」に由来します。1940年代後半から1950年代初頭にかけて、段階的に南行きの車線が追加され、現在の両方向通行の道路構造が完成しました。しかし、110丁目より北のアムステルダム・アベニューは現在でも両方向通行です。20世紀後半の不動産ブームにおいて、59丁目から100丁目にかけての区間は高級住宅街へと変貌を遂げました。

交通と公共機関

かつては地下鉄7系統の延伸計画があり、10番街駅の新設も検討されていましたが、2007年に計画は撤回されました。

文化とメディアへの影響

10番街、そしてアムステルダム・アベニューは、数多くの映画、演劇、小説などに登場し、ニューヨーク文化の象徴的な場所として描かれています。ミュージカル「オン・ユア・トウズ」の「10番街の殺人」というダンスナンバーは有名で、映画やテレビ、バレエでも取り上げられました。また、犯罪映画や音楽アルバムのタイトルにも使われるなど、大衆文化に深く浸透しています。

TVドラマ『SUITS/スーツ|SUITS_スーツ』や『ママと恋に落ちるまで』といった作品にも登場し、その独特の雰囲気や街の多様性を物語っています。架空のギャングのたまり場として描かれたり、主人公の住む場所として登場したりと、様々な物語の舞台となっています。

まとめ

10番街とアムステルダム・アベニューは、マンハッタンのウエストサイドにおける重要な道路であり、その歴史、地理、文化的な影響は無視できません。労働者街から高級住宅街へと変貌を遂げ、現在も発展を続けるこの通りは、ニューヨークという街のダイナミズムを象徴する存在と言えるでしょう。一方通行や両方向通行が入り混じる道路構造、そして歴史的な背景、そして現代の高級住宅街としての顔、そして大衆文化における存在感は、この大通りをより魅力的にしています。

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