11式105mm装輪突撃車

11式105mm装輪突撃車（ZTL-11）

ZTL-11は、中国人民解放軍陸軍の軽機械化歩兵部隊に配備されている装輪式の装甲戦闘車です。105mmライフル砲を搭載し、機動部隊への火力支援を主な任務としています。2015年の抗日戦争勝利70周年記念軍事パレードで初めて公開されました。

開発の背景

21世紀に入り、陸軍の情報化と軽機械化が進む中、装輪装甲車はその流れを象徴する存在となりました。道路網の発達した現代の戦場や、低強度紛争、対テロ作戦など、多様な状況に対応できる装輪装甲車は、迅速な展開能力と高い機動力を求められる部隊にとって不可欠な装備です。

アメリカ陸軍のストライカー旅団構想は、装輪車ファミリーを大規模に導入し、即応性の高い軽部隊を構築する試みとして知られています。中国人民解放軍もこの流れに乗り、08式歩兵戦闘車をベースとした高機動装輪式戦闘車の開発を進めました。

ZTL-11は、道路での迅速な機動と空輸による展開を可能にし、重装甲部隊に比べて安価であるという利点があります。中型合成装甲旅団の火力支援を担い、歩兵に対する直接的な火力制圧を行います。その任務から「車輪付き戦車」とも呼ばれますが、軽戦車として運用した場合、対戦車兵器に対して脆弱であるという弱点も抱えています。

設計

ZTL-11の開発にあたり、軍は戦闘室を中央、エンジンを後部に配置する8輪突撃砲のレイアウトを採用しました。これは、車体の長さと砲塔の位置関係から、射撃時に発生する高圧ガスが車両前方に与える影響を考慮した結果です。戦闘室を中央に配置することで、射撃時の安定性を高めています。

105mmライフル砲にはマズルブレーキが搭載され、尾翼安定化砲弾を使用します。徹甲弾の装甲貫徹力は600mmに達し、劣化ウラン装甲を持たない輸出仕様のM1A2主力戦車を貫通するのに十分な威力を持つとされています。

エンジンは330kWのターボチャージャー付きV型6気筒ディーゼルエンジンを搭載し、8輪シャーシを駆動します。オートマチックトランスミッションと油圧アシストステアリングホイールにより、高速道路での最高速度は100km/hに迫ります。

水上航行能力も有しており、車体後部にはプロペラが装着されています。ZTL-11は前線での戦闘を想定して設計されており、厳しい重量制限の中で可能な限り装甲が強化されています。車体と砲塔には追加の装甲板が装備され、防御力を高めています。

配備

ZTL-11は、2017年には海軍陸戦隊への配備が確認されています。05式水陸両用戦車を装備する既存の海兵旅団に加え、ZTL-11を装備した部隊は、上陸作戦だけでなく、長距離の迅速展開も可能になります。

2021年時点では、陸軍で1000両、海軍陸戦隊で50両が運用されています。

ZTL-11は、中国人民解放軍の機動力を支える重要な装備であり、その動向が注目されています。

もう一度検索