12 (坂本龍一のアルバム)

坂本龍一のオリジナルアルバム『12』

坂本龍一が2023年1月17日にリリースした『12』（トゥエルブ）は、彼の晩年に制作されたオリジナルアルバムであり、最終作となりました。本作品は、前作『async』から約6年の歳月を経て、坂本自身が闘病生活を送りながら、日記のように制作した音楽のスケッチから選ばれた12曲を収めたものです。

アルバムの内容

このアルバムには、坂本がピアノとシンセサイザーを操作しながら生み出した楽曲が日付順に収録されています。各楽曲のタイトルは、制作した日付を基に命名されたもので、坂本自身は日記にタイトルをつける発想がなかったと語っています。ほとんどの曲が「一筆書き」で完成されている中、「20220302 - sarabande」、「20220302」、「20220404」の3曲は、坂本が手を加えて「推敲」したものです。

特に注目されるのは、「20220302 - sarabande」という楽曲で、坂本は三拍子の優雅な踊りを想起させるために、このタイトルを選びました。また、他の曲と一線を画す「20220304」は、意図的に最終トラックとして配置されています。

アルバムのタイトルが「12」とされているのは、曲全体の雰囲気が「12」と声に出して言いたくなるような印象を与えるからだと坂本は説明しています。

特別な公開とデザイン

2022年12月11日には、オンラインコンサート「Ryuichi Sakamoto: Playing the Piano 2022」が開催され、この特別な場で本作の全曲フル試聴が配信されました。このコンサートでも「20220302 - sarabande」が演奏され、多くのファンの記憶に残る瞬間となりました。

ジャケットアートは、著名な美術家である李禹煥が手掛けたドローイングであり、坂本の71歳の誕生日前日にリリースされたこの作品に深い意味を与えています。

最後の作品

坂本龍一は2023年3月28日に亡くなり、『12』は彼にとって生前最後のアルバムとなりました。このアルバムには、映画監督是枝裕和による映画『怪物』で使用された曲も含まれており、アーティストとしての彼の遺産は今なお世界中のファンに愛されています。

収録曲一覧

全作曲は坂本龍一によるもので、以下のように構成されています：
- SIDE A
1. 20210310
2. 20211130
3. 20211201
- SIDE B
4. 20220123
5. 20220202
- SIDE C
6. 20220207
7. 20220214
- SIDE D
8. 20220302 - sarabande
9. 20220302
10. 20220307
11. 20220404
12. 20220304

坂本の音楽は、彼の感情と経験を映し出すものとなっており、『12』はその集大成とも言える作品です。

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