13歳のハローワーク

『13歳のハローワーク』とは

村上龍氏によって執筆された『13歳のハローワーク』は、多種多様な職業を、百科事典のような形式で紹介する書籍です。イラストレーターのはまのゆか氏による挿絵が添えられています。2003年に幻冬舎から初版が刊行され、2010年には89の職業を追加した改訂版『新 13歳のハローワーク』が出版されました。

この書籍は、マスコミに取り上げられたり、学校で教材として採用されたりするなど、大きな話題を呼び、累計発行部数は130万部を超えるミリオンセラーとなりました。

内容

本書では、514種類（改訂版では593種類）もの職業が紹介されています。各職業は、「○○が好き」という好奇心に応じて分類されており、自分の興味のある分野から関連する職業を探せるようになっています。あまり知られていない職業にも触れられている点が特徴です。また、大きめの文字サイズと豊富なイラストによって、読書に慣れていない子供でも読みやすいように工夫されています。

各職業の項目では、仕事内容の概要や、その職業に就くために必要な能力や経験などが解説されています。村上龍氏自身の職業観を語るエッセイも掲載されており、職業は単に生きるための手段ではなく、生きる目的そのものであるというメッセージが込められています。村上氏自身の職業である作家については、「最後の職業」と評し、他者に伝える価値のある情報を持っているなら誰でもなれるが、他の仕事から作家への転身はいつでも可能であるため、他の職業を経験してからでも遅くない、という考えが述べられています。

最終章には「特別編」が用意されており、「戦争が好き」「ナイフが好き」「テレビゲームが好き」「エッチなことが好き」といった項目があります。これらの項目では、「○○が好きだからといって、必ずしも△△になれるわけではない」という注意喚起がなされています。「戦争が好き」という感情に反省を促しつつも、アメリカ軍兵士を「職業」の一つとして肯定的に掲載したり、自衛官になることの是非を考える材料として、「職業としての自衛官」というページを設け、詳細な情報を提供しています。その他、警察官などの公務員や、軍事評論家についても触れられています。

巻末には、「明日のための予習」として、終身雇用の崩壊を踏まえた職業環境に対する村上氏の考えや、書籍が執筆された2003年時点におけるIT、環境ビジネス、バイオ産業の将来性についての考察が述べられています。IT産業については、技術の変化が激しいため、労働者の働き方が不安定になるという見解が示され、「ITブームに踊らされるな」というメッセージが込められています。

2005年には、公式ウェブサイトが開設され、職業に関する情報を調べたり、実際にその職業に就いている人に質問したりできるようになりました。

評価

ライターの速水健朗氏は、自分の「やりたいこと」に合った仕事を見つけることの重要性を認めつつも、本書が全国の学校に配備され、あたかもそれが唯一の価値観であるかのように受け止められてしまう可能性に警鐘を鳴らしています。

メディアミックス

『13歳のハローワーク』は、ゲームやテレビドラマなど、様々なメディア展開がされています。

ゲーム
2006年には、タカラトミーより、本作に関連したボードゲーム「おしごと発見! 人生ゲーム」が発売されました。
2008年には、ニンテンドーDS用のアドベンチャーゲーム『13歳のハローワークDS』が発売されました。

テレビドラマ
* 2012年には、テレビ朝日系列で、本作を題材にした連続ドラマ『13歳のハローワーク』が放送されました。

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