176.5

アルバム『176.5』について

『176.5』は、吉田拓郎が1990年1月10日に発表したオリジナルアルバムです。この作品は1990年代初頭を代表するものであり、1980年代後半のトレンドであったコンピュータによる打ち込みサウンドが強く反映されています。タイトルの『176.5』は、拓郎自身の身長を示しており、自らの等身大の姿を表現したものとされています。

アルバムの背景

このアルバムには、過去のスタイルを引き継ぎつつ、新しい音楽的要素が取り入れられています。特に、ジャケットのデザインには1980年代のアフロヘアが使われており、拓郎のアイデンティティを感じさせます。しかし、次作の『detente』以降は、彼の髪型は短くなり、ビジュアルにも変化が見られます。

制作の特徴

作詞には森雪之丞を迎え、彼とのコラボレーションによって官能的な内容が詩に込められています。実際、このアルバム内で森が手がけた曲は、拓郎自身が歌った唯一のものです。これにより、拓郎は自らの心情や思いを等身大で表現しようとしました。なお、前作『ひまわり』では、全曲が拓郎自身の作詞によるものでした。

収録曲について

収録されている曲は全て吉田拓郎の作詞・作曲によるものですが、一部の曲は他の作詞家によって作られています。以下は収録曲の一部です。

• - 落陽

作詞：岡本おさみ
本アルバムのリードシングルであり、シングルバージョンとは異なりアウトロが約1分短縮されています。この曲は日本テレビ系ドラマ『あの夏に抱かれたい』の主題歌に使われました。

• - 星の鈴

作詞：森雪之丞
1990年2月21日にシングルとしてもリリースされ、TBS系『世界・ふしぎ発見!』のエンディングテーマとしても知られています。

• - 30年前のフィクション

作詞：森雪之丞

• - しのび逢い

作詞：森雪之丞

• - 妄想

作詞：森雪之丞

• - 憂鬱な夜の殺し方

作詞：森雪之丞
「俺を許してくれ」のカップリング曲でもあります。

• - 光る石

作詞：森雪之丞

• - はからずも、あ

• - 祭りのあと

作詞：岡本おさみ
この曲は「落陽」のカップリングとなります。

参加ミュージシャン

• - ボーカル、バックグラウンドボーカル、ギター、ハーモニカ：吉田拓郎
• - シンセサイザー・プログラミング、キーボード：遠山淳
• - ギター：鳥山雄司・鈴木茂・徳武弘文・中川雅也・斉藤英夫
• - キーボード：国吉良一・竹田元
• - サックス、クラリネット：JAKE H. CONCEPCION
• - コーラス：比山貴咏史・木戸泰弘

全ての曲のアレンジや基本トラックのプログラミングは吉田拓郎が担当しました。

総評

『176.5』は、吉田拓郎の音楽活動における重要な一作であり、その詩の内容や制作背景からも彼の成長と変化を感じることができます。1990年代初頭という時代背景も相まって、音楽としての価値が高まっています。

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