1796年アメリカ合衆国大統領選挙

1796年アメリカ合衆国大統領選挙

1796年アメリカ合衆国大統領選挙は、11月4日と12月7日に行われたアメリカの第3回目の大統領および副大統領選挙でした。この選挙は、アメリカ合衆国の歴史の中で初めて競合する候補者が存在した選挙であり、また、異なる党から大統領と副大統領が選ばれた初の事例でもあります。これにより、当時の選挙制度の問題点が浮き彫りとなり、後の政治体系に影響を与えました。

概要

本選挙において、現職の副大統領ジョン・アダムズは連邦党から出馬し、副大統領候補にはトマス・ピンクニーが名前を挙げられました。対抗馬として登場したのは民主共和党のトマス・ジェファーソンで、彼にはアーロン・バーが副大統領候補に指名されました。しかし、この時点では正式に副大統領候補という制度は確立していなかったため、各候補者は大統領職を目指す形でした。結局、アダムズが大統領に選ばれ、ジェファーソンが副大統領となりました。

選挙制度

選挙は選挙人による間接選挙で行われ、各選挙人は2票の投票権を持っていました。ひとつは大統領候補に、もうひとつは副大統領候補に投じられました。これはアメリカ合衆国憲法の修正第12条が制定される以前の仕組みであり、この時の問題点が後に改訂の動機となりました。選挙人の選出には州ごとに異なる規定があり、当時17州のうち7州は州議会が選出し、残る9州は一般投票による方法が取られました。

選挙戦の様子

選挙運動は非常に激しいものでした。現職大統領ジョージ・ワシントンは3期目の出馬を辞退し、アダムズが連邦党の候補として立ちました。民主共和党を支持する側は、ジェファーソンを強力に支援し、彼に対抗する形でアダムズを推しました。議論は過熱し、連邦党は民主共和党をフランス革命と関連付けて攻撃し、逆に民主共和党は連邦党を貴族政治に賛成していると非難しました。

選挙の直前には、フランス大使が民主共和党を支援する発言をし、これが選挙戦に影響を与えました。アダムズの当選が予想される中、ジェファーソンも副大統領に選ばれる結果となりました。

選挙結果とその後

結果的に、アダムズは大統領として選出され、ジェファーソンは副大統領に就任しました。これにより、アメリカ合衆国史上初めて異なる党からの大統領と副大統領が共存することとなりました。ジェファーソンは副大統領の地位を利用してアダムズの政策を批判し、次回の選挙でホワイトハウスを目指すことになります。

この選挙はアメリカ合衆国憲法修正第12条設立の背景となりました。1797年には新たな憲法修正案が提案されましたが、実際の施行には至らず、1800年の選挙ではさらなる混乱を招くことになりました。

結論

1796年選挙は、アメリカの政治における重要な転機と位置付けられています。この選挙を通じて、選挙制度の改善の必要性が認識され、今後のアメリカ合衆国の政治体制に大きな影響を与えることとなるのです。

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