1863年の相撲

1863年の相撲界は、将軍徳川家茂の上洛という大きな出来事に影響を受け、春場所の開催が大幅にずれ込むなど、異例の年となりました。この年の相撲界の動向について、詳細に見ていきましょう。

春場所の延期

通常、春に開催されるはずの相撲の場所は、将軍徳川家茂の上洛により、7月へと延期されました。これは、相撲興行が幕府の行事や権威と密接に結びついていたことを示す事例と言えるでしょう。将軍の上洛という国家的なイベントが、相撲界のスケジュールにも大きな影響を与えたことがわかります。

各地の興行

1863年には、大坂相撲と江戸相撲という二つの主要な相撲興行が行われました。

6月場所（大坂相撲）
興行場所：天満砂原屋敷
この場所は、大坂相撲が開催された場所であり、当時の大坂における相撲人気を物語っています。
7月場所（江戸相撲）
興行場所：本所回向院
晴天10日間興行
江戸相撲は、江戸の庶民にとって娯楽の一つとして定着しており、この場所は10日間、晴天に恵まれ興行が行われました。本所回向院は、江戸相撲の重要な場所でした。
11月場所（江戸相撲）
興行場所：本所回向院
晴天10日間興行
9日目で打ち切り
この場所も本所回向院で開催されましたが、10日間の予定だった興行は、9日目で打ち切りとなりました。打ち切りの理由については、資料には詳細が記されていませんが、天候不順やその他の事情が考えられます。

まとめ

1863年の相撲界は、将軍上洛による春場所の延期、大坂と江戸における興行の開催、そして江戸相撲における場所の打ち切りなど、さまざまな出来事が重なった年でした。これらの出来事は、当時の社会情勢や相撲興行の状況を反映しており、相撲史を研究する上で重要な資料となっています。

参考文献

酒井忠正『日本相撲史 上巻』ベースボール・マガジン社、1956年6月1日。

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