1904年セントルイスオリンピック

1904年セントルイスオリンピック

1904年セントルイスオリンピックは、アメリカ合衆国ミズーリ州のセントルイスで、1904年7月1日から11月23日まで行われた歴史的なオリンピックです。この大会は、北米大陸で開催された初めてのオリンピックであり、20世紀に入って最初のオリンピックでもあります。

開催地の変更とその影響

当初、1904年のオリンピックはシカゴで開催される予定でしたが、セントルイスで万国博覧会が計画されていたため、急遽開催地が変更されました。この結果、セントルイスオリンピックは万国博覧会と同時に行われることになりました。しかし、交通の便や、同年の日露戦争による国際情勢の緊張などが影響し、ヨーロッパからの参加者が大幅に減少しました。参加したのはアメリカからの選手523人で、隣国カナダからも52人が参加しましたが、他国の選手は極めて少数でした。

メダルの独占

総計91種目が開催されましたが、これらの中で42種目ではアメリカ以外の選手が参加しないという状況でした。その結果、アメリカは金メダル96個中78個を獲得し、異例のメダル独占を果たしました。これは近代オリンピック史上、他に類を見ないものです。

競技種目の見直しと新規採用

この大会では、前回のパリオリンピックから多くの競技種目が見直され、新たにアーチェリー、綱引、ボクシング、ラクロス、そしてロック（クロッケーの北米版）が採用されました。特にアーチェリーとボクシングは、その後も主要な競技として継続されることとなります。反対に、クリケットやラグビーなど、多くのヨーロッパで人気のある競技はこの大会から外されました。

また、ウェイトリフティングは1896年のアテネオリンピック以来の復活を果たしましたが、その後は1920年のアントワープオリンピックまで行われず、ゴルフはこの大会を最後に姿を消しました。ゴルフの復活は112年後の2016年、リオデジャネイロオリンピックまで待たなければなりませんでした。

人類学の日と人種差別

オリンピックの公式競技とは別に「人類学の日」と称し、アイヌやインディアンなどの少数民族に対して体力測定を行うイベントがありました。この催しは後年、人種差別的な意図があったと批判されることになります。

マラソンの不正事件

特に注目されたのがマラソン競技における不正事件です。アメリカのフレッド・ローツは、20キロ過ぎで倒れ、自動車に乗せられて競技場に戻り、第1位でゴールしましたが、その不正が発覚し、優勝は取り消されました。ローツはマラソン界から永久追放されることになりますが、その後も競技に復帰し、1905年のボストンマラソンで優勝しました。

水球とメダリスト

男子の水球ではアメリカ以外の参加がなかったため、アメリカ国内の3チームが競い合い、ニューヨークチームが優勝しました。セントルイス大会では、アメリカは水球で金メダルを獲得した唯一の例となります。主なメダリストには、アーチー・ハーン（陸上競技）やトーマス・ヒックス（マラソン）などがいます。

結論

1904年のセントルイスオリンピックは、アメリカの圧倒的な競技力を象徴する大会であり、オリンピック史上の重要な一幕を刻みました。数々のドラマと共に今も語り継がれるこの大会は、開催国の勢力を知らしめる舞台でもありました。

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