1922 (映画)

1922

『1922』は、アメリカ合衆国で2017年に公開されたスリラー映画です。巨匠スティーヴン・キングの短編集『Full Dark, No Stars』に収められた同名小説を映画化した作品で、Netflixのオリジナル映画として配信されました。

物語は、初老の男性ウィルフレッドがホテルの部屋で自らの筆を進め、過去に犯した忌まわしい罪について綴り始める場面から静かに幕を開けます。彼の回想を通して、観客は数年前に遡り、彼の人生における決定的な出来事へと導かれます。

舞台は1922年のネブラスカ州。ウィルフレッドは妻アルレットと14歳の息子ヘンリーと共に、広大な農場を営みながら暮らしていました。しかし、都会での生活に憧れを抱いていた妻アルレットは、自身に権利がある農場と家屋を売却し、この地を離れることを強く望むようになります。ウィルフレッドは、生まれ育った土地を離れる気は毛頭なく、また息子ヘンリーも、隣家に暮らす娘シャノンと恋仲にあったため、この場所に留まることを望んでいました。妻の希望と父子の思いは真っ向から対立し、家庭内の緊張は次第に高まっていきます。

行き詰まりを感じたウィルフレッドは、息子ヘンリーを自らの計画に引き込むことを決意します。父子で共謀し、アルレットを殺害するという恐ろしい計画を実行に移すのです。そして、殺害後に遺体を井戸に遺棄し、まるでアルレットが忽然と姿を消したかのように偽装工作を行います。一時的には計画が成功したかに見えましたが、一度踏み外した道は、彼らを容赦なく蝕んでいきます。

父ウィルフレッドと息子ヘンリーは、日ごとに増していく罪悪感に苛まれるようになります。精神的な苦痛は彼らの肉体をも衰弱させ、二人の関係性も破綻へと向かいます。幻覚や悪夢に悩まされ、平静を保つことが困難になる中で、彼らは自らが犯した罪の重さと向き合わざるを得なくなります。罪悪感という名の亡霊は、彼らを追い詰め、やがて避けられない破滅へと導いていくのです。

本作は、人間の深い闇と、罪がもたらす精神的な崩壊を、静謐かつ冷徹な筆致で描き出しています。広大なネブラスカの風景とは対照的に、登場人物たちの内面で繰り広げられる葛藤と絶望が、観る者に強烈な印象を残します。

主要なキャストは以下の通りです。

ウィルフレッド・ジェームズ：トーマス・ジェーン（吹替：樋浦勉）
アルレット・ジェームズ：モリー・パーカー（吹替：山崎美貴）
ヘンリー・ジェームズ：ディラン・シュミット（吹替：大森大樹）
ハーラン・コテリー：ニール・マクドノー（吹替：森田順平）
シャノン・コテリー：ケイトリン・バーナード（吹替：安藤瞳）
アンドリュー・レスター：ボブ・フレイザー（吹替：横堀悦夫）
* ジョーンズ保安官：ブライアン・ダーシー・ジェームズ（吹替：立川三貴）

日本語吹替版の制作は、演出を中野洋志氏、翻訳を岡田まゆみ氏が担当し、ACクリエイトが制作を手がけました。

罪の意識が人間をいかに変容させ、破滅へと追いやるのか。『1922』は、スティーヴン・キングならではの緻密な心理描写で、その恐ろしさを深く掘り下げた作品と言えるでしょう。

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