1924年のル・マン24時間レース

1924年、フランス・サルトサーキットにて開催されたル・マン24時間レースは、この歴史的な耐久レースの第2回大会として、1924年6月14日から15日にかけて行われました。この年は、昼間の時間が最も長くなる時期にレースが開催されるよう変更され、以降の大会における大きな特徴となりました。

この大会には、39台または41台（記録にずれがある）の車両がエントリーしました。天候には恵まれましたが、レースはトラブルの連続でした。激しい競争の中で多くの車両が機械トラブルに見舞われ、完走台数はわずか14台という厳しい結果に終わりました。

そんな中、見事優勝を飾ったのは、イギリスから参戦した1台のベントレー3リットルでした。ドライバーはジョン・ダフとフランク・クレモンのペア。彼らはレース中に、なんと車のキーを車体奥に落としてしまい、20～30分もの間、キーを探し回るというアクシデントに見舞われました。このハプニングにも関わらず、彼らは24時間で2,077.340kmという驚異的な距離を走りきり、平均速度86.555km/hで優勝を掴みました。

この1924年のル・マン24時間レースは、数々のドラマとアクシデントに彩られた、まさに激闘のレースでした。過酷な条件下での完走、そしてイギリス勢による優勝は、このレースの伝説性をさらに高めることになりました。この大会は、ル・マン24時間レースの伝統を確立する上で非常に重要な役割を果たし、以降のレースの開催方法や参加車両、そしてレースそのものの精神に大きな影響を与えたと言えるでしょう。

優勝したベントレー3リットルの活躍は、イギリス車の耐久性と信頼性の高さを示す大きな出来事となりました。また、このレースは、後のル・マン24時間レースにおける国際的な競争の幕開けを象徴するものでもありました。多くの挑戦者たちが、この偉大なレースに挑戦し、それぞれのドラマを刻んできた歴史は、今なお多くの人々を魅了し続けています。

参考文献

『ルマン 伝統と日本チームの戦い』グランプリ出版 ISBN 4-87687-161-2
ドミニク・パスカル著、日沖宗弘訳『ル・マンの英国車』ネコ・パブリッシング ISBN 4-87366-068-8
* 黒井尚志『ル・マン 偉大なる草レースの挑戦者たち』集英社 ISBN 4-08-780158-6

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