1947年北西辺境州住民投票

1947年北西辺境州住民投票

1947年7月、インドとパキスタンの分離に際して、イギリス領インド帝国に属した北西辺境州において住民投票が行われました。この投票では、州の帰属がインドかパキスタンのどちらになるかを決定するためのものでした。

住民投票の背景

1947年2月、イギリスのクレメント・アトリー首相は、インドの統治をインド人に移譲するための過程を監督するため、マウントバッテン伯爵を選任しました。彼は当初、インドの分割を回避する方針でありましたが、地域情勢が急速に悪化する中、急いで権限の移譲を進めることが決定されました。その判断の一環として、マウントバッテンは北西辺境州での住民投票を実施することを明らかにしました。この住民投票では、住民がインドまたはパキスタンのどちらに帰属すべきかが主な焦点となりました。

投票の実施と結果

投票は1947年7月6日から始まり、7月20日に結果が発表されました。北西辺境州の人口の約4百万人に対して、572,798人が有権者として登録され、51%の投票率が記録されました。結果としては、289,244票（99.02%）がパキスタンへの帰属を支持し、インドへの票はわずか2,874票（0.98%）に留まりました。

この投票には、州首席大臣のカーン・アブドゥル・ジャバー・カーンやその弟で神の奉仕党のリーダーであるアブドゥル・ガファー・カーンが強く反対していました。彼らは、投票において独立やアフガニスタンへの帰属という選択肢が存在しないことを問題視し、住民投票のボイコットを呼びかけました。この結果、投票率は1946年に比べて低くなり、ボイコットの影響が伺えました。

実施体制

投票実施に際し、インド軍総司令部は、複数の士官を選出して投票の支援を行う体制を整えました。また、マウントバッテンは両国の石油供給に関する配慮や政治犯に対する恩赦を指示し、国民の不安を和らげる努力をしました。投票は当初は順調に進むと思われましたが、実施中にさまざまな意見や要求が浮上しました。

投票の影響

住民投票は、パキスタンが新たにできる自主領として位置づけられる中で、重要な位置を占める出来事となりました。1947年8月15日にパキスタンが正式に成立することになりますが、この住民投票後は州内の政治体制に大きな変化が訪れます。具体的には、新たに選出された州知事が解任され、新たな体制に移行する過程で多くの有力者が逮捕されるという事態が発生しました。

その後の展開

パキスタン成立後、州政府は政権を強化し、異なる意見を持つ者に対する弾圧が進みました。神の奉仕党に対しては、活動禁止や弾圧が行われ、住民投票に反対した人々も含まれ、多くの人間が拘束されました。このような経過は、新国家の形成過程における深刻な分断とも言えるものでした。

北西辺境州の住民投票は、地域の政治・社会的な構造に大きな影響を与え、その後のパキスタンのアイデンティティ形成においても重要な意味を持つ出来事として記憶されています。

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