1960年の広島カープ

1960年の広島カープ

1960年シーズンは、広島カープにとって球団創設から11年目、そして白石勝巳監督がチームを率いて8年目にあたる年でした。これまでの10年間、一度もAクラス入りを果たせず、常にセントラル・リーグの最下位付近に低迷してきたチームにとって、このシーズンは歴史的な転換点となります。

飛躍と激動のシーズン経過

長らく「万年Bクラス」と呼ばれてきたカープでしたが、1960年は例年とは異なるスタートを切りました。開幕から6連覇を目指す読売ジャイアンツが序盤に苦戦する中、カープは5月にはリーグ3位にまで浮上し、周囲を驚かせました。しかし、この好調は長く続かず、6月以降は勝利と敗北を繰り返す一進一退の展開となります。夏場にかけては一時的に最下位に沈むなど、再び厳しい状況に置かれました。

ところが、シーズン終盤の9月に入るとチームは再び勢いを取り戻します。国鉄スワローズや中日ドラゴンズを抜き去り、順位を4位に上げました。特に9月下旬には、引き分けを一つ挟みながらも驚異的な9連勝を記録。この快進撃により、球団創設以来初めてAクラス入りが現実的な目標として視野に入ってきました。

最終的にシーズンは熾烈なAクラス争いのまま幕を閉じます。惜しくも0.5ゲーム差で大阪タイガースに競り負け、4位という結果に終わりました。Aクラスにはあと一歩届きませんでしたが、それでもチームは創設以来初となる勝率5割（62勝62敗6分）を達成し、長年の低迷から抜け出す大きな一歩を刻みました。

チームを支えた力

この飛躍のシーズンを支えたのは、投打にわたる主力選手の活躍と、若手の台頭でした。投手陣では、ベテランの長谷川良平や備前喜夫が安定した投球を見せ、2年目の大石清も開幕から勝ち星を積み重ね、先発ローテーションの柱となりました。彼らの踏ん張りが、苦しい時期を乗り越える原動力となりました。

打撃陣では、1番打者の平山智が出塁し、2番打者の古葉毅が機動力を絡めるなど、上位打線が機能しました。彼らを中心とした打線は「台風の目」と評され、相手チームにとって脅威となりました。また、多くの若手選手が力をつけ、チーム全体の底上げに貢献したことも、勝率5割達成の大きな要因でした。ベテランの経験と若手の勢いが融合したチームでした。

シーズン後と球団の歴史における意義

歴史的な勝率5割という置き土産を残し、このシーズン限りで白石勝巳監督は勇退しました。後任には、それまで二軍監督を務めていた門前眞佐人が就任しました。この監督交代は、チームが新たな時代へと向かう節目となりました。

1960年シーズンは、カープが長年のBクラスから脱却し、上位争いを展開できるチームへと成長するための重要なステップとなりました。初の勝率5割達成は、ファンにとっても選手にとっても大きな自信となり、その後の球団の発展につながる礎を築いた、記憶に残るシーズンとして語り継がれています。

このシーズンに関する詳細なチーム成績や選手・スタッフの情報、オールスターゲームへの選出、表彰選手などについては、記録として残されています。

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