1960年の映画

1960年の映画

1960年は、映画界においてさまざまな重要な出来事が起こった年であり、国内外ともに多くの新たな動きが見られました。この年の映画業界のトピックを整理してみましょう。

国内外の出来事

世界的動向

1月、アメリカでは全米脚本家組合が映画のテレビ放映権を巡ってストライキを実施しました。続いて、3月には映画俳優組合も同様の理由でストライキに入ります。このようなストライキは、映画業界に多大な影響を及ぼしました。

2月には、イタリアのフェデリコ・フェリーニ監督による『甘い生活』が公開され、この作品は映画界において特に注目を集めました。同じ月には、日本においても国際東宝がニューヨークに事務所を開設し、国際的な展開を図ります。3月には台北で日本映画見本市が開催され、多くの作品が紹介されました。

フランスのヌーヴェルヴァーグを代表する作品『勝手にしやがれ』が同じく3月に公開され、国際的な評価を受けます。5月には、東宝がパリに事務所を新設し、海外展開を強化しました。6月にはカンヌ国際映画祭で市川崑監督の『鍵』が特別賞を受賞するなど、日本映画も国際舞台での存在感を示しました。

日本の独自の動き

日本国内では、1月から東映がアイドホール試験を開始したり、映画『任侠中仙道』と『ひばり十八番 弁天小僧』が公開されてヒットを記録します。1月15日には第10回ブルーリボン賞が行われ、月形龍之介が大衆賞を受賞しました。また、同月21日にはイーストマン・カラー・フィルムが値下げされ、カラー映画が更に広まる兆しを見せました。

6月には大島渚監督の『青春残酷物語』が封切られ、松竹ヌーヴェルヴァーグの始まりを告げる作品となりました。この流れの中で、若手監督たちが活躍し、彼らの作品が映画界に新たな風を吹き込んでいきます。7月には全国映画館数が過去最高の7,663館に達するなど、映画の人気が高まります。

8月には映画『水戸黄門』と『続続 べらんめえ芸者』が公開され、こちらもヒットを記録しました。

受賞と評価

1960年はまた、国際賞でも日本映画が多数受賞する年でもありました。第33回アカデミー賞では、『アパートの鍵貸します』が作品賞を受賞。また、カンヌ国際映画祭では『甘い生活』がパルム・ドールを受賞し、作品がいっそう多くの注目を浴びることとなりました。

映画市場の変化

日本国内の映画市場も見逃せません。国内では、映画の興行収入が727億9800万円に達し、入場者数が10億1436万人を記録しました。また、この年にはテレビの影響が増し、テレビの事業収入が映画の配給収入を超えたというデータもあり、映画業界における大きな変化が起こってきました。

総括

これらの出来事を通じて、1960年は映画界にとって重要な転換点であったと言えます。国内外の映画祭やストライキを経て、多くの新しい試みや挑戦が行われ、多様性ある作品が誕生した年でした。この年の動向は、映画史においても特に意義深いものとして語られることでしょう。

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