1963年リンドン・ジョンソン大統領就任式

リンドン・B・ジョンソンの就任式

1963年11月22日、アメリカ合衆国大統領のリンドン・B・ジョンソンは、暗殺された前任者ジョン・F・ケネディの後を受けて、テキサス州ダラスにあるダラス・ラブフィールド空港の大統領専用機の中で就任しました。これはアメリカ史上8回目となる臨時の就任式であり、ジョンソンの初の大統領任期が始まる瞬間でした。

ケネディ暗殺の瞬間

同日、午後12時30分頃、ケネディは妻ジャクリーンと共に大統領車に乗っている時、ダラスで銃撃に遭いました。当時、副大統領だったジョンソンも、その後続車に乗っていました。発砲の直後、ジョンソンはシークレットサービスのエージェントに守られ、ケネディの車両と共に急いで病院へ向かいました。この際、ジョンソンが銃撃されて怪我を負ったとの誤報も流れましたが、彼の妻レディ・バードは、実際には無事であることを発表しました。

病院では、ジョンソンは周囲から暗殺の危険を警告され、ワシントンD.C.に戻るよう薦められました。しかし、彼はケネディの安否がわかるまで待つことを望みました。午後1時20分、ケネディの死亡が確認され、ジョンソンは直後に病院を後にしました。

ダラス・ラブフィールド空港での移動

次に、ジョンソンは二人の娘をシークレットサービスの保護下に置き、通信機器が備えられた大統領専用機での出発を決定しました。覆面パトカーに乗ってダラス・ラブフィールド空港へ向かう際、ジョンソンは低い姿勢を保つよう指示されました。彼は、ジャクリーンが到着するのを待ち、ケネディの棺が機内に運ばれるまで離陸を延期しました。

ジョンソンは、長年の友人であるサラ・T・ヒューズ連邦地方判事を宣誓挙行者に指名しました。ヒューズは、以前司法省によって推薦を拒否されていましたが、後に再任されました。

大統領専用機での就任式

大統領専用機の客室で27人が詰め込まれ、就任式が行われました。外部電源が切られていたためエアコンが動かず、環境は非常に不快なものでした。それでも、歴史的な瞬間が進行しました。この就任式は、女性が初めて宣誓挙行者を務め、また飛行機内での就任式という画期的なものでした。ジョンソンは普段の聖書の代わりにケネディの専用機にあったミサ典書を用いて宣誓を行いました。

宣誓後、彼は妻にキスをし、ジャクリーンには「全国民があなたの夫を悼んでいます」と伝えました。同時にCBSのアンカー、ウォルター・クロンカイトは、ケネディの死亡確認とジョンソンの大統領就任を伝える報道を行っていました。

有名な就任式の写真は、ケネディの公式カメラマンであるセシル・W・ストウトンによって撮影されました。この写真は、ジョンソンが妻とジャクリーンの間に立つ場面が収められています。ジャクリーンは、ピンクのシャネル・スーツに残る血痕が映り込まないようにカメラから少しずれていました。

余波

その後、アンドリュース空軍基地へ向かう途中、ジョンソンはケネディの母親ローズ・ケネディや他の関係者に無線電話をかけました。また、全閣僚に留任を求め、議会の指導者たちと迅速に面会する手筈を整えました。午後6時10分、ジョンソンはアンドリュース基地に到着し、初めての公式声明を発表しました。彼自身の声が激しく響き、その印象について後に悔やむことになります。

この就任式は、アメリカの歴史において重要な出来事として記憶されています。ジョンソン大統領の誕生と、ケネディの悲劇的な死がもたらした政治的な激動の中で、彼のリーダーシップは新たな局面を迎えることになるのです。

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