1968年イタリアグランプリ

1968年イタリアグランプリ：デニス・ハルムの劇的勝利とホンダの挑戦

1968年のF1世界選手権第9戦、イタリアグランプリは、イタリアのモンツァ・サーキットで9月8日に開催されました。このレースは、マクラーレンのデニス・ハルムの鮮やかな勝利、そしてホンダの新型マシンRA302の期待と挫折、そして数々のアクシデントによって彩られた、記憶に残る一戦となりました。

レース前：中断期間とドライバーラインナップ

前戦ドイツGPから5週間の中断期間を経て開催されたこのレースには、24台というこのシーズン最多のエントリーが記録されました。注目すべきはアメリカ人ドライバーの参加です。ロータスにはマリオ・アンドレッティがスポット参戦し、BRMにはボビー・アンサーが起用されました。両者ともにUSACチャンピオンシップで活躍した名ドライバーです。さらに、マトラ、フェラーリ、ホンダもそれぞれドライバー数を増やし、競争の激しさを予感させました。ホンダは新型RA302を投入。しかし、このマシンは練習走行のみで、決勝ではRA301が使用されることとなりました。クーパーはドライバーの負傷により、3台目の出走を取り止めました。

予選：アンドレッティとアンサーの出場停止

金曜日の予選では、アンドレッティとアンサーが好タイムを記録しました。しかし、彼らは翌日にアメリカで開催される「フージャー・ハンドレッド」への参加を予定しており、世界選手権の決勝前24時間以内に他のレースに出場してはならないというレギュレーションに違反するため、決勝への出場が禁止されてしまいました。

ホンダはRA302のテストを続けましたが、エンジンオーバーヒートやオイル漏れといった問題が発生し、RA301に比べて大幅に遅いタイムしか記録できませんでした。結果、RA302は決勝レースで走ることなく、その開発は終了しました。サーティースはRA301を完璧にセットアップし、ポールポジションを獲得しました。

決勝：ハルムの独走と数々のアクシデント

晴天の下で行われた決勝レースは、サーティースがまずトップに立ちましたが、すぐにマクラーレンが首位を奪いました。その後はマクラーレン、サーティース、そしてスチュワート、シフェール、ハルムらが激しいトップ争いを展開しました。レース中盤では、エイモンがコースアウト、サーティースがクラッシュするなど、アクシデントが相次ぎました。マクラーレンはオイル漏れによりリタイア、スチュワートもエンジントラブルで脱落しました。

これらのアクシデントをうまくかわしたハルムは、徐々にリードを広げ、最後は独走で優勝を飾りました。一方、イクスは燃料系のトラブルに見舞われ、セルボ＝ギャバンに抜かれて3位となりました。ホンダのホッブズは、序盤は好走していましたが、終盤にエンジントラブルでリタイアしました。

まとめ

1968年イタリアグランプリは、ハルムの鮮やかな勝利、ホンダのRA302の開発中断、そして様々なアクシデントが絡み合った、ドラマチックなレースでした。アンドレッティとアンサーの出場停止、ホンダの新型マシンのトラブル、そして上位陣の脱落劇は、このレースをより一層記憶に残るものにしました。このレースの結果、ハルムはチャンピオンシップ争いに大きく前進することとなりました。そして、ホンダは、RA302の開発に見切りをつけ、翌シーズン以降のさらなる技術向上を目指すこととなりました。

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