1968年エールフランス212便墜落事故

1968年エールフランス212便墜落事故の概要

1968年3月5日、エールフランス212便は、南米のシモン・ボリバル国際空港からカリブ海のポワンタピートル国際空港へ向かう途中、悲劇に見舞われました。この便は、ボーイング707-328C型機（機体記号：F-BLCJ）を使用しており、目的地の手前にあるスフリエール山に墜落、乗員乗客63名全員が命を落としました。

事故機について

事故を起こしたボーイング707-328C型機は、製造番号19724として製造され、1968年1月13日に初飛行したばかりの新しい機体でした。エンジンはプラット・アンド・ホイットニー JT3D-3Bを搭載しており、総飛行時間はわずか46時間でした。この事実から、機体の不具合が事故に直接関与した可能性は低いと考えられます。

事故の経緯

エールフランス212便は、チリのアルトゥーロ・メリノ・ベニテス国際空港を起点とし、7つの空港を経由してパリ＝オルリー空港へと向かう長距離便でした。事故が発生したのは、ポワンタピートル国際空港への着陸進入中でした。

管制官が212便に対し、滑走路11への目視進入を許可した際、パイロットは空港を視認できたと報告しています。その後、212便は高度約9,000フィート（約2,700m）から降下を開始。約4,400フィート（約1,300m）でグアドループのサン・クロード上空を通過しました。しかし、その後、212便は進路を北西に変え、ポワンタピートル国際空港の南南西約27.5km、スフリエール山の主峰から約5km、高度3,937フィート（約1,200m）地点のグレードディスカバリー山に激突しました。墜落現場は、サン・クロードとマトゥーバ温泉から坂道を登った場所に位置していました。

事故原因の究明

事故調査の結果、212便が夜間の目視進入時に誤った地点から降下を開始したことが、事故の主な原因であると推定されました。パイロットが、視界の悪い状況下で、正確な降下経路を判断できなかった可能性が指摘されています。

その他の関連事項

事故機であるボーイング707型機は、製造ラインを離陸後、わずか33時間の飛行時間であり、事故当時は、2度目の定期便運行中でした。初回の飛行は、事故の前日にパリから出発した旅客便でした。また、この事故の6年前にも、同じエールフランスのボーイング707がポワンタピートル国際空港への進入中に墜落しています。さらに、212便の墜落から2年も経たない1969年12月4日には、カラカスを離陸した直後の同名の便が墜落事故を起こしており、エールフランスの同型機における連続した事故が注目されます。

まとめ

1968年のエールフランス212便墜落事故は、夜間の目視進入時におけるパイロットの判断ミスが原因と考えられています。この悲劇は、航空機の運航における夜間飛行と目視進入の危険性を改めて浮き彫りにしました。また、事故機の運航開始からの短い飛行時間や、同型機における過去の事故も、航空安全に関する重要な教訓として記憶されるべきでしょう。

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