1970年カンボジアクーデター

1970年カンボジアクーデター

1970年3月17日、カンボジア国民議会での投票を経て、国家元首であったノロドム・シハヌーク王子が解任され、ロン・ノル首相が権力を掌握しました。このクーデターは、緊急権限の行使により実行され、その結果、シソワト・コサマック女王も解任され、同年後半にはクメール共和国の宣言に繋がりました。この出来事はカンボジア内戦の重要な転換点とされており、君主制から共和制への移行を示すものとなりました。

背景

1954年のフランスからの独立以降、カンボジアはノロドム・シアヌーク王子の指導の下、サンクム運動が支配していました。1960年に国王が亡くなった後、シハヌークは憲法を改正し、自らを国家元首として位置づけましたが、女王は名目上の存在にとどまっていました。シハヌークは、国内のパワーバランスを保つために、政治的な操作や脅迫を用いて権力を維持しており、特に右翼と左翼の調整が求められていました。

政治的緊張の高まり

1970年代に近づくにつれ、シハヌークは国内の不安定な情勢に対処するために姿勢を変えざるを得なくなりました。アメリカのベトナム戦争への関与が深まる中で、シハヌークの政策は画一性を欠き、特にロン・ノル率いる右翼勢力との摩擦が目立つようになりました。ロン・ノルはシハヌークの経済政策に不満を持ち、特にシハヌークが左派に対して寛容だったことが問題視されるようになりました。

クーデターの発生

1969年、ロン・ノルはアメリカとの接触を開始し、シハヌークに対するクーデターの意図を固めていきました。一方で、シハヌークは北京放送を通じて国民に対し、ロン・ノルに対する抵抗を呼びかけるも、大規模なデモは暴力的に鎮圧されました。これにより、多くの民間人が犠牲となり、ロン・ノルの政権が強化されていくこととなります。

余波と国際的影響

クーデター後、ロン・ノルは北ベトナム軍の侵攻を受けることとなり、カンボジア内戦の始まりを迎えました。ロン・ノル政権は、共産主義者に対して強硬な姿勢を取ったものの、多くの無実のベトナム人が犠牲となり、その後のカンボジアの情勢をさらに悪化させる結果となりました。国内での人権侵害や地位の不安定さは、カンボジア社会に深刻な影響を与え、クメール・ルージュが権力を掌握する土壌が形成されていきました。

このクーデターによって、カンボジアの歴史は大きな転機を迎えることとなり、ロン・ノル首相は内戦や外部の影響を受ける中、権力を握り続けることができず、1975年にカンボジアを去ることとなりました。

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