1970年自由民主党総裁選挙

1970年自由民主党総裁選挙の詳細

1970年10月29日に実施された自由民主党の総裁選挙は、政治的な転換点となる重要な出来事でした。この選挙は、佐藤栄作氏が三度目の総裁としての任期を迎え、次の選挙にどのように臨むかが注目されました。佐藤氏は既に三選を果たしており、更なる四選に出馬するか、若手の福田赳夫氏に党首の座を譲るかを巡り、党内は緊迫した状況にありました。

選挙の焦点は、佐藤が自身の後継者と目される福田に権限を引き継ぐのか、それとも四選を望む田中角栄氏が後続の権力を握るのかという点でした。前年の総選挙にて沖縄返還合意を成功裏にまとめ上げた佐藤氏は、当時の支持率が高く、後継者選びの場面でも影響力を持っていました。このため、選挙においては福田氏が圧倒的な支持を得るのではという予測もありましたが、田中角栄氏は福田の後継指名を許可する気は無かったため、党内の派閥争いが表面化しました。

選挙の中で、田中を支持する川島正次郎副総裁は中間派グループから支持をまとめ上げ、佐藤に四選を促す運動を展開しました。佐藤氏もこの流れに乗り、四選出馬の意向を示すようになりました。結果として、田中は新たに与えられた2年間を最大限に活用し、通産大臣として国の経済政策において成果を上げていくことになります。

佐藤氏の四選はほぼ確実視されていましたが、予想外の展開として三木武夫氏が総裁選に立候補し、支持を集めることとなります。また、前尾繁三郎氏も出馬の意向を示していましたが、佐藤氏の働きかけにより彼は出馬を取り止め、佐藤氏の支持に回る形となりました。投票の結果、三木氏は予想以上の支持を得ており、ポスト佐藤の候補として生き残ることに成功しました。対照的に、前尾氏は選挙前に約束された内閣改造による優遇措置が反故にされ、派閥の権威を失うこととなったのです。

本選挙は、「立候補制」ではなかったため、党所属国会議員の投票が有効票として扱われ、選挙のプロセスが円滑に進められました。最終的に、佐藤栄作氏が再び自由民主党の総裁に選ばれ、その影響力を確認する形となります。

この選挙は、自民党の核となる派閥間の権力抗争を浮き彫りにし、また政治的な運営における様々な派閥の力が如実に示されました。以降の党内政治においても、これらの動きは徐々に影響を及ぼしていくことになるでしょう。

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