1973年の台風

1973年台風は、太平洋北西部で発生した熱帯低気圧の記録です。この年の特徴として、台風1号の発生が7月1日と非常に遅かったことが挙げられます。これは1951年の統計開始以来、1998年、2016年に次いで3番目に遅い記録です。この遅延の背景には、太平洋高気圧の軸が異常に南下し、台風の発生域が高気圧に覆われたという気象条件がありました。結果として、台風の総数も平年より大幅に少ない21個にとどまりました。

日本への接近数も特筆すべき点です。わずか4個という記録は、統計史上最も少ない接近数となりました。上陸した台風も7月の台風6号のみで、この台風は複雑な動きを見せ、3度の台風期間を持つ復活台風としても注目されました。

一方で、10月には台風15号が中心気圧875hPaという記録的な勢力にまで発達しました。当時の観測史上、1958年の狩野川台風(877hPa)を抜いて、世界最低気圧を記録しました。その後、1979年台風20号が870hPaを記録し、この記録は更新されましたが、現在も歴代2位の記録として残っています。

以下に、1973年に発生した各台風の詳細を記載します。

台風1号(ウィルダ): 7月1日発生。統計史上3番目に遅い発生であり、台風空白期間も198日と過去3番目の長さでした。
台風2号(アニータ)
台風3号(ビリー)
台風4号(クララ)
台風5号(ドット)
台風6号(エレン): 日本に上陸した唯一の台風。複雑な動きをした復活台風
台風7号(フラン)
台風8号(ジョージア)
台風9号(ホープ)
台風10号(アイリス)
台風11号(ジョアン)
台風12号(ケイト)
台風13号(ルイーズ)
台風14号(マージ)
台風15号(ノラ): 中心気圧875hPaを記録した記録的な台風
台風16号(オパール)
台風17号(パッシー)
台風18号(ルース)
台風19号(サラ)
台風20号(セルマ)
* 台風21号(ヴェラ)

この年の台風は、発生数の少なさ、接近数の少なさ、記録的な勢力を持つ台風の発生など、様々な特徴が見られました。特に、台風1号の発生が遅れたことは、その年の気象状況を大きく特徴づける出来事でした。また、台風15号の記録的な発達は、当時の台風の勢力に関する記録を塗り替えるものであり、現在もなおその記録は特筆に値します。

1973年台風は、その特異な状況から、気象学的に興味深い事例として記録されています。

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