1974年のヨーロッパF2選手権

1974年のヨーロッパF2選手権は、全10戦にわたる激戦の末、フランス人ドライバー、パトリック・デパイユが栄冠を手にしました。F2参戦5年目を迎えたデパイユは、その卓越したドライビングスキルで4勝を収め、念願のチャンピオンタイトルを獲得、鮮烈なシーズンとなりました。

特筆すべきは、デパイユがこの年、F1にも参戦を開始したことでしょう。F2での活躍が、F1への扉を開いたと言えるでしょう。まさに勢いに乗った一年となりました。

今シーズンの特徴として、多くのレースが2ヒート制で開催された点が挙げられます。第2戦、第5戦、第6戦、第8戦、第9戦、そして最終第10戦は、それぞれ2回のヒートレースが行われ、両ヒートの合計タイムで最終順位が決定されました。ドライバーたちは、2度のレースで安定したパフォーマンスを維持する必要があり、体力、そしてマシンの耐久性が試される過酷なシーズンでした。

第5戦の第2ヒートは、悪天候に見舞われました。激しい雨に見舞われたレースは、当初予定されていた20周から15周に短縮。ドライバーたちは、視界不良の中、限界に挑戦するスリリングなレースを展開しました。

また、第7戦では、既にF1で実績のあるベテランドライバー、ロニー・ピーターソンが優勝。彼の圧倒的な速さは、他のドライバーたちに大きなプレッシャーを与えました。

選手権のポイントシステムは、優勝9点、2位6点、3位4点、4位3点、5位2点、6位1点というシンプルなものでした。ボーナスポイントは一切なく、各レース上位入賞者への明確なポイント配分が行われました。シーズンを通してベスト7レースの結果が選手権ポイントにカウントされる有効ポイント制でしたが、1974年シーズンにおいては、ポイント控除を受けたドライバーはいませんでした。

さらに重要な規則として、FIAレギュレーションにより、F1での実績を持つグレーデッドドライバーは、F2レースに出走し、たとえ入賞したとしても、F2選手権ポイントの対象外とされていました。これは、F2が若手ドライバー育成の場としての役割を担っていたことを示す、重要な規定でした。

1974年のヨーロッパF2選手権は、デパイユのチャンピオン獲得だけでなく、2ヒート制、悪天候の影響、グレーデッドドライバーの存在など、様々な要素が絡み合った、非常にドラマチックなシーズンとなりました。このシーズンは、若手ドライバーにとっての登竜門としてのF2と、既にF1で活躍するベテランドライバーたちの存在感を際立たせた、記憶に残るシーズンであったと言えるでしょう。

もう一度検索