1980年の読売ジャイアンツ

1980年の読売ジャイアンツの動向について

1980年の読売ジャイアンツは、長嶋茂雄監督の6年目という重要なシーズンを迎えましたが、さまざまな波乱が巻き起こりました。年が始まると、チームの主力であった張本勲が金銭トレードでロッテに移籍。これに対し張本は「巨人は間違った方向に進んでいる」と厳しい評価を下しました。その後、ヘッドコーチに就任したばかりの青田昇が週刊誌上の発言を理由に辞任するなど、チーム内は不穏な空気に包まれました。

シーズンが始まると、読売ジャイアンツは初戦から3連敗を喫し、その後も厳しい状況が続きました。特に借金生活から抜け出せず、7月以降も大洋や阪神とのAクラス争いが続きましたが、苦戦は続きました。チームの投手陣は奮闘し、江川卓が最多勝のタイトルを獲得し、定岡正二と西本聖も防御率2点台を記録。結果として、チーム防御率はリーグで唯一の2点台という成績を残しました。

一方、打撃陣は厳しい状況にありました。張本の穴を埋めるべく加入した現役大リーガーのロイ・ホワイトは期待に応える活躍を見せたものの、前年には無冠に終わっていました。また、王貞治は40歳を迎えた5月以降、打率がリーグ最下位に沈むなどパフォーマンスが低迷。10月12日には19年連続となる30号本塁打を放つも、これが現役最後の一発となり、チームの打率も2割5分を下回る厳しい形となりました。この年は接戦においても1点差で敗れる試合が多く、投打の不均衡が浮き彫りとなりました。

シーズンの終盤には、10月19日と20日に日本シリーズ出場を目指す広島相手に連勝し、なんとかAクラスの3位を確保しました。しかし過去の栄光に比べて劣る成績に苦しみ、1944年から1948年までの4年連続優勝を除けば、この年で3年連続の優勝逃避が確定しました。これが長嶋監督の解任へとつながり、10月21日には藤田元司が新監督に就任することが発表されました。

年末を迎え、王貞治の引退も発表されました。11月4日に王は「体力の限界」として現役を引退すると表明し、11月23日のファン感謝デーにおいて高田繁と共に引退セレモニーを行いました。藤田新監督のもとでは、王の経験が活かされることとなり、かつての選手たちが次世代を支える体制が築かれました。なお、高田も翌年から野球解説者として新たな道を歩むことになります。

1980年の読売ジャイアンツは、波乱の多いシーズンとなり、選手やコーチ陣の交代が次々に行われる中、チームは新たなスタートを切ることとなりました。

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