1982年のF1世界選手権

1982年のF1世界選手権

1982年のF1世界選手権は、FIAによる公式な第33回大会として開催されました。開幕は南アフリカ共和国のサーキットで行われ、シーズンは全16戦にわたり展開されました。混乱を極めるこのシーズンは、数々の出来事や新たな才能の登場が印象に残ります。

シーズンの顛末

この年のシーズンは、チーム間の不和や不透明な裁定、大事故といった騒動に彩られました。開幕戦では、ドライバーたちが契約問題を理由にストライキを決行し、その影響で予選初日がキャンセルされました。このストライキの背景には、スーパーライセンスの発給手続きの変更があり、ドライバーたちは不利となる条項の撤回を求めたのです。

第2戦のブラジルGPでは、1位と2位のドライバーが水タンクの違反により失格となる事態が発生。このことがFOCAとFISAの間での緊張を高め、続くサンマリノGPでは複数のチームがボイコットを決定しました。これらの出来事が、この年の混戦を引き起こした要因となりました。

混戦のドライバーたち

優勝者は11名に達し、その中には5名の初優勝者も含まれています。しかし、このシーズンで3勝以上を挙げるドライバーは存在しなかったのです。前年王者のネルソン・ピケはトラブルに直面し、カルロス・ロイテマンはフォークランド紛争の影響で引退を強いられました。開幕2連勝を果たしたアラン・プロストも、後に多くのリタイアに苦しむことになります。

好調だったフェラーリ勢も波乱に見舞われました。ジル・ヴィルヌーヴとディディエ・ピローニの間でチームオーダーが無視される一方、ベルギーGPではヴィルヌーヴが事故で命を落とし、その後もピローニが大事故に遭い選手生命を断たれるという悲劇が起こりました。これにより、フェラーリはコンストラクターズタイトルを獲得しながらも、相次ぐ不幸に翻弄されました。

最終戦と新たな才能

シーズンの終盤には、マクラーレンのジョン・ワトソンとウィリアムズのケケ・ロズベルグがタイトル争いに名を連ねました。ワトソンは4連続リタイアの影響で苦戦し、ロズベルグはコンスタントにポイントを獲得。最終的には、スイスGPでの1勝でチャンピオンの座に就くことになります。

さらに、モナコGPではリカルド・パトレーゼ、オーストリアGPではエリオ・デ・アンジェリス、ラスベガスGPではミケーレ・アルボレートがそれぞれ初優勝を果たし、世代交代を印象づけるシーズンとなりました。

笑顔と悲しみ

1982年はまた、過去の偉大なドライバーが次々とF1から去る年でもありました。テオ・ファビの台頭が期待される一方で、ニキ・ラウダは再びマクラーレンに戻り、注目を集めました。また、マリオ・アンドレッティやヨッヘン・マスも引退の道を歩み、F1の歴史に新たな一ページを加えました。

シーズン終了後、特に衝撃的だったのがロータスの創設者コーリン・チャップマンの急死でした。この出来事はF1界に大きな影響を与え、その後の技術規制にも影響を及ぼしました。1982年のF1は、ただのレースを超えた数多のドラマに満ちていた年と言えるでしょう。

もう一度検索