1984年のラジオ (日本)

1984年の日本のラジオ

1984年という年は、日本のラジオ放送において、活発な動きが見られた一年でした。番組の大幅な入れ替え、新たな放送局の誕生、そしてラジオ界を長年支えてきた人物の逝去といった出来事が相次ぎ、メディアとしてのラジオの姿に様々な変化が現れました。

番組改編の波と新番組の登場

特に春（4月）と秋（10月）の改編期には、多くの放送局で大規模な番組改編が実施されました。これにより、数多くの新番組が誕生し、リスナーに提供されるコンテンツの選択肢が大きく広がりました。

NHKでは、テレビで好評を得ていた「名曲アルバム」の音源を活用したラジオ版「名曲の小箱」が、4月よりラジオ第2、次いでラジオ第1でも放送を開始しました。また、平日帯の「おはようラジオセンター」「こんにちはラジオセンター」「こんばんはラジオセンター」など、情報番組のラインナップも刷新されました。NHK-FMでは「FMアドベンチャー」といった新機軸の番組が登場しています。

民放においても、各局が特色ある新番組をスタートさせました。タレントやお笑い芸人、アイドル、文化人などを起用した番組が多く企画され、リスナーの獲得競争が展開されました。

ニッポン放送では、アイドルをパーソナリティに迎えた「堀ちえみ パイオニア・どきどきダイアリー」や、話題の音楽番組「TOKYOベストヒット」、さらに「極楽ワイド鶴ちゃんでーす！」のような帯番組など、バラエティ豊かな番組が始まりました。
TBSラジオでは深夜の人気ゾーンに「スーパーギャング」が登場し、若者を中心に注目を集めました。「進め！おもしろバホバホ隊」もこの年にスタートしています。
文化放送では、小倉智昭氏がパーソナリティを務める「小倉智昭のとことん気になる11時」などが始まり、午前中のラジオに新しい風を吹き込みました。
関西地区のMBSラジオでは、角淳一氏の「すみからすみまで角淳一です」が放送を開始し、地域のリスナーに親しまれる番組となりました。
また、エフエム東京の「FMトランスミッション/バリケード」や、FM大阪の「中島らもの月光通信」など、FM局でも個性的な番組が登場しました。

これらの新番組は、トーク、音楽、情報といった様々な要素を組み合わせ、リスナーのニーズに応えようとする各局の意欲を示すものでした。

放送網の変化：開局と閉局

1984年は、日本のFM放送網が拡大した年としても記憶されます。特に、地域に根ざした新しいFM局が複数開局しました。

9月1日には、沖縄県に初の県民FM局としてエフエム沖縄が開局しました。
12月1日にはエフエム宮崎が、12月18日には福井エフエム放送がそれぞれ放送を開始し、FM放送のエリアが拡大しました。

これらのFM新局の誕生は、地域メディアの多様化を進める一方で、長く沖縄で放送を続けてきた極東放送が8月31日をもって閉局するという出来事もありました。これは、放送局を取り巻く環境の変化を示す象徴的な出来事でした。

ラジオ界の出来事と節目

ラジオ番組や放送局の動きに加え、ラジオ界に影響を与える出来事も発生しました。

長年にわたりニッポン放送の看板アナウンサーとして活躍し、「オールナイトニッポン」の初代パーソナリティの一人でもあった糸居五郎氏が、12月28日に63歳で逝去されました。氏の死去は、多くのラジオファンにとって大きな悲しみとなりました。
関西地区のAMラジオ局である朝日放送、MBSラジオ、ラジオ大阪の3局が共同で特別番組「おおさか好き ラジオまつり84」を4月24日に放送しました。これは、局の枠を超えた企画として注目を集めました。
番組や放送局の節目として、開局周年や放送回数の記念といった出来事も各所で見られました。

終了した主な番組

新たな番組が始まる一方で、その役割を終えた番組もありました。NHKでは、3月末に「しらべによせて」「芸能ダイヤル」「健康談話室」など、長寿番組や多様なテーマを扱った番組が終了しました。また、民放でも春や秋の改編期を中心に、様々な番組が最終回を迎えました。

まとめ

1984年の日本のラジオ界は、年間を通じて活発な動きが見られました。春と秋の改編による多数の新番組投入は、各局の競争とラジオメディアのコンテンツ創造への意欲を示しています。また、FM局の相次ぐ開局は、放送網の拡充とメディア環境の変化を象徴する出来事でした。著名なパーソナリティの逝去や、局の連携による特別番組なども含め、この年は日本のラジオの歴史において、変化と発展が同時に進行した興味深い一年であったと言えるでしょう。

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