1986年のヤクルトスワローズ

1986年のヤクルトスワローズ

1986年、プロ野球セントラル・リーグに参加したヤクルトスワローズは、土橋正幸監督体制3年目のシーズンを戦いました。

シーズンの推移

この年のヤクルトは、開幕から非常に厳しい状況に立たされました。開幕カードの巨人戦で3連敗を喫するなど、序盤11試合を終えた時点でわずか2勝と大きく出遅れ、早くも最下位に沈んでしまいます。その後もチームは波に乗れず、5月から7月上旬にかけては、5連敗を2度（うち1度は引き分けを挟む）、4連敗を1度、3連敗を2度喫するなど、連敗が重なる苦しい展開が続きました。7月3日の時点で、借金は22まで膨らみ、最下位から抜け出すのは絶望的かに見えました。

しかし、夏場に入るとチームは息を吹き返します。7月4日からのシーズン初の3連勝を皮切りに、同月10日からも再び3連勝を記録。さらにオールスターゲーム明けのシーズン後半開幕直後には、球団にとってこの年最長となる7連勝を飾りました。この猛追により、7月は月間貯金7を記録。一時は5位の大洋ホエールズに0.5ゲーム差まで肉薄するなど、最下位脱出へわずかな光明が見えました。

しかし、喜びも束の間、8月に入ると再び失速します。3連敗と4連敗をそれぞれ1度ずつ喫し、月末には5位を争う大洋との直接対決3連戦に全敗。この3連敗を含む5連敗を喫したことで、5位浮上の機会を逸しました。9月に入っても中旬に4連敗、さらに9月末から10月上旬にかけて7連敗を喫するなど、再び大きく負け越したことで、最下位脱出は遠のき、最終的に2年連続となる最下位が確定しました。

チーム成績

打線においては、前年に大洋を自由契約となり加入したレオン・リーが4番打者として孤軍奮闘。チームを牽引し、ベストナインにも選出される活躍を見せました。しかし、前年4番を務めた杉浦享が故障により出場が42試合に留まったことや、この年から打撃コーチを兼任したベテランの若松勉が自己ワーストとなる打率.275と低迷するなど、主力に誤算が生じました。チーム全体の打撃成績も振るわず、チーム打率は.252でリーグ5位、本塁打数も119本でリーグ5位に終わり、リーグ最多本塁打の阪神タイガースとは65本差と大きな開きがありました。

投手陣では、高野光が自己最多となる12勝を挙げ、チームを支えましたが、チーム全体の防御率はリーグで唯一4点台となる4.11に留まり、投手力の課題が浮き彫りとなりました。

特筆事項

シーズン終盤、2年連続最下位が確実となり、土橋監督の辞任も発表される中で迎えた10月7日、優勝を争っていた巨人とのシーズン最終戦で、マーク・ブロハードが相手エースの槙原寛己から逆転2ランホームランを放ち、巨人の優勝戦線に影響を与えました。最下位チームではありましたが、最後の最後で意地を見せる形となりました。

この年優勝を決めたのは広島東洋カープでしたが、広島が優勝を決めたのは5日後の10月12日のヤクルト戦でした。ヤクルトは優勝した広島には12勝14敗と健闘しましたが、2位となった巨人には9勝16敗1分と大きく負け越し、上位球団との差を痛感させられるシーズンとなりました。

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