1988年の日本グランプリ (ロードレース)

1988年 ロードレース世界選手権 日本グランプリ

1988年シーズンのロードレース世界選手権は、3月25日から27日にかけ、三重県鈴鹿サーキットを舞台とする日本グランプリで華やかに幕を開けました。この大会では前年同様、250ccと最高峰クラスである500ccの2カテゴリーが開催されました。激戦の末、500ccクラスではスズキを駆るケビン・シュワンツが、そして250ccクラスではホンダのアントン・マンクがそれぞれ優勝を飾りました。特にシュワンツにとって、この鈴鹿での勝利は記念すべきキャリア初となる世界グランプリ制覇でした。

500ccクラス レース概要

予選では、地元日本のエースである平忠彦が、当時としては珍しい5列目のグリッドから見事ポールポジションを獲得し、日本のファンを大いに沸かせました（なお、世界選手権のグリッドは1990年から4列に変更されています）。

決勝レースがスタートすると、ウェイン・レイニーが抜群のスタートを見せ、最初の第1コーナーをトップで通過。その後方にはケビン・シュワンツ、前年チャンピオンのワイン・ガードナー、そしてクリスチャン・サロンが続きました。

序盤、シュワンツはヘアピンでレイニーのインを突く果敢な仕掛けを見せますが、レイニーは巧みなライン取りでこれを封じます。しかし、シュワンツは続くスプーンカーブで遂にレイニーをオーバーテイクし、トップの座を奪いました。最初の周回を終える頃には、シュワンツとガードナーがレースの主導権を握り、サロンがそれを追う展開となりました。

その後、シュワンツとガードナーによる壮絶なトップ争いが繰り広げられます。二人のマシンは文字通りのサイド・バイ・サイド。互いに一歩も譲らず、抜きつ抜かれつの激しいバトルは、観衆を熱狂させました。

一方、後方からはベテランのエディ・ローソンと、ヤマハを駆るニール・マッケンジーが猛烈な追い上げを見せ、それぞれ3位、4位と順位を上げていきました。また、地元ライダーの藤原儀彦はヘアピンで惜しくも転倒を喫し、レースを終えることとなりました。

レース終盤、迎えた最終ラップで、トップを争っていたガードナーがコースアウト。転倒は免れたものの大きくタイムをロスし、勝利のチャンスはケビン・シュワンツのものとなりました。シュワンツはそのままトップでチェッカーを受け、記念すべき世界グランプリ初優勝を達成しました。これはスズキにとっても、最高峰クラスでの重要な勝利となりました。

250ccクラス レース概要

250ccクラスのレースでは、ホンダのアントン・マンクが強さを見せ、優勝を飾りました。このクラスでも開幕戦にふさわしい熱戦が展開されました。

1988年の日本グランプリは、各クラスで印象的なバトルとドラマが生まれ、その後のシーズンの行方を占う上で非常に重要な一戦となりました。

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