1991年自由民主党総裁選挙

1991年10月27日に行われた自由民主党総裁選挙は、海部俊樹首相が辞意を表明したことから始まった。この選挙は、当時の政治情勢に大きな影響を与えたものである。総裁選の前日、海部首相は閣議を開き、衆議院解散を求める意向を表明したが、金丸信や他の閣僚からの反対に直面した。ついには海部首相が総裁選に立候補しないことを決定し、その意志を記者会見で示した。

候補者として名乗りを上げたのは、宮澤喜一、渡辺美智雄、三塚博の三人だ。彼らは竹下派が候補を立てない限り「三派連合」を結成して対抗する姿勢を示していた。しかし、竹下派が候補者を擁立しないことが明らかになると、各候補者は竹下派の支持を求めて競い合うこととなる。

小沢一郎が主導し、三人の候補者と会談を行う「小沢面接」において、最終的に宮澤が竹下派からの支持を受けることが決まった。金丸信は宮澤を支持する意向を示し、竹下派内での合意形成を図ったが、その際に拍手はまばらで、金丸が壇上から指導的役割を果たす瞬間があった。

選挙日、宮澤が当選する結果となり、彼は新たな総裁として任命された。投票結果では、渡辺が120票を獲得するなど善戦を見せ、竹下派の総裁選への影響力が確認された。この選挙の結果は、翌月の海部首相辞任やその後の政局にも影響を与えることになった。

総裁選の後、竹下派は分裂し、1992年には小沢支持派と反小沢派に分かれ、政治情勢は一層複雑なものとなった。また、渡辺は宮澤内閣の副総理や外務大臣として重要な役職に就くこととなり、この一連の出来事は自由民主党内での権力争いや派閥政治の行方を暗示させるものであった。

この総裁選は、単なる党首選挙を超えて、日本の政治状況における多くの重要な変化を促進した。特に、宮澤の当選は75年を超える55年体制の崩壊の前触れとも見られ、政治の舞台裏では新たな基盤が形成される兆しが見えていた。

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