1992年モナコグランプリ

1992年モナコグランプリ：セナの劇的勝利とマンセルのタイヤトラブル

1992年F1世界選手権第6戦、モナコグランプリは、1992年5月31日、モンテカルロ市街地コースで開催されました。このレースは、予選から決勝まで、数々のドラマが凝縮された、記憶に残る一戦となりました。

予選：マンセルのポールポジション、モレノの健闘

予選では、ナイジェル・マンセルが6戦連続となるポールポジションを獲得しました。一方、アイルトン・セナはマンセルから1.1秒遅れの2番手となり、モナコでの連続ポールポジション記録が4でストップしました。

注目すべきは、アンドレア・モーダチームのロベルト・モレノの活躍です。予備予選を突破し、予選では最下位ながらも決勝進出を果たしました。これは、その後チームが選手権から追放されるまでの唯一の決勝進出となり、モナコという難コースでモレノのドライビングスキルが光る結果となりました。モレノ自身も、このモナコGP予選を、1990年日本GPでの2位表彰台と並ぶ忘れられない経験として語っています。

決勝：セナの粘り勝ち、マンセルのタイヤトラブル

決勝レースは、スタート直後から激しいバトルが展開されました。セナは1コーナーでパトレーゼをかわして2番手に浮上し、マンセルを追いかけます。しかし、マンセルは徐々に差を広げ始めます。

3位以下も混戦模様で、パトレーゼはオーバーステアに苦しみ、アレジとシューマッハは激しい4位争いを繰り広げました。この争いの最中に、シューマッハとアレジが接触。アレジはマシンの損傷によりリタイアを余儀なくされました。さらに、ベルガーとブランドルもマシントラブルによりリタイア。3位争いは、パトレーゼとシューマッハの展開となりました。

レース終盤、トップを走るマンセルは左リアタイヤに異変を感じ、緊急ピットイン。タイヤ交換を行いますが、ピットアウトした時にはセナがトップに立っていました。フレッシュタイヤのマンセルはセナを猛追しますが、セナは巧みなドライビングでマンセルの追撃をかわし、シーズン初優勝、モナコ4連覇、そして自身5度目のモナコ制覇を達成しました。

マンセルのタイヤトラブルの原因は、レース前にメカニックがタイヤを装着する際にタイヤウォーマーのストラップがナットとハブの間に挟まってしまい、ナットが緩んだことにあると、後日判明しました。このトラブルを捉えたのは日本のフジテレビのカメラのみで、他の放送局は状況把握に時間を要したと言われています。

このレースは、セナの粘り強い走り、そしてマンセルの不運なタイヤトラブルが勝敗を分けた、記憶に残る一戦となりました。セナのマシンから白煙が上がり、マンセルも疲労困憊の様子を見せていたことからも、両ドライバーにとって、いかに激しいレースだったかが伺えます。

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