1996 (アルバム)

アルバム「1996」について

1996年5月17日にリリースされた坂本龍一のコンピレーション・アルバム「1996」は、彼の過去の楽曲を集めた作品で、特にトリオ編成で再録音された点が特徴です。このアルバムは、アメリカの音楽サイト「Rate Your Music」で「史上最高の日本の音楽アルバム」の19位にランクインするなど、世界中で高く評価されています。

トリオ編成の演奏

アルバムにはピアノ、ヴァイオリン、チェロからなるトリオによる演奏が収められており、坂本がピアノを担当、チェロはジャック・モレレンバウムが演奏し、ヴァイオリンはエバートン・ネルソンが担当しています。特に、元ニューヨーク交響楽団の首席ヴァイオリニストであるデヴィッド・ナディアンが演奏した2曲は、坂本に強い印象を与えたと言われており、彼の演奏を一度聴いただけで魅了されたというエピソードもあります。

アルバムの制作背景

アルバムのタイトルはリリース年が1996年であることにちなんで名付けられました。これまでに同様のトリオ編成での作品もいくつか存在し、他のアルバムにも収録されていますが、「1996」における特徴的な部分は、全てのレコーディングからマスタリングに至るまでフルデジタルで行われた点です。これは坂本にとって初めての試みであり、アナログによる作業が全く介在していません。

楽曲の魅力

「1996」にはいくつかの楽曲が収められており、全て坂本龍一の作品です。国内盤は全16曲、海外盤では全12曲の楽曲が収録されていますが、リマスター版では再び全16曲が収録されています。

収録曲の中でも特に注目されるのが「ゴリラがバナナをくれる日」であり、フランス印象主義の感覚を持つこの曲は、1978年の「PARCO」のCMで使用されたもので、ダイナミクスの変化が印象的です。また、「Rain」はサウンドトラック「ラストエンペラー」にも収録された名曲で、デヴィッド・ナディアンによるヴァイオリンが特徴的です。

さらに、「美貌の青空」と「The Last Emperor」もこのアルバムの重要な収録曲で、特に坂本は、アルバム全体が「The Last Emperor」のダイナミック・レンジに調整されていることを強調しています。

受賞歴

このアルバムは第11回日本ゴールドディスク大賞のインストゥルメンタル部門を受賞しており、その評価は音楽ファンや評論家からも認知されています。

2012年には海外でリマスター盤も発売され、同時期にはトリオ編成で新たに収録された「THREE」も発表されました。

まとめ

「1996」は、坂本龍一の音楽的キャリアの中でも特に重要な作品の一つであり、彼の独自の音楽スタイルを余すところなく堪能できる内容となっています。また、トリオ編成による美しいアレンジが施された楽曲たちは、聴く人に深い感動を与えることでしょう。このアルバムを通じて、坂本の音楽の魅力を再発見することができます。

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