1996年の広島東洋カープ

1996年の広島東洋カープ

1996年、広島東洋カープは三村敏之監督にとって指揮を執って3年目のシーズンを迎えました。

この年は、チームのシンボルともいえるユニフォームのデザインが一新されました。これまでの大リーグスタイルを取り入れつつ、1988年以来8年ぶりに胸の「CARP」ロゴが復活。ホーム用とビジター用でデザインが分けられ、ホーム用には「CARP」の文字が、ビジター用には1972年以来24年ぶりに「HIROSHIMA」の文字が採用されました。また、前立てラインが導入されるなど、全体的に懐かしさを感じさせる復古調のデザインに生まれ変わりました。

チーム戦力としては、前年チームの2位躍進を牽引した紀藤真琴、山内泰幸、そして守護神・佐々岡真司といった投手陣に加え、新たにダイエーから経験豊富な加藤伸一投手が加入。打撃陣でも、強力な助っ人としてルイス・ロペス選手が入団するなど、既存の選手たちを含めて充実期を迎えていました。

シーズン序盤、チームは4月を10勝11敗とわずかに負け越してスタートしました。しかし、5月に入ると投打の歯車が噛み合い、快進撃を見せます。特に5月、6月は大きく勝ち越し、一時は優勝候補と目されていた読売ジャイアンツに最大で11.5ゲームもの大差をつけるなど、最高の状態でした。

しかし、シーズン中盤から後半にかけて流れが変わります。7月9日のジャイアンツ戦で、エースの紀藤投手が相手打線に滅多打ちにあい、チームも大差で敗れると、ここからジャイアンツが怒涛の追い上げを開始します。

さらに、チームを悪性の集団風邪が襲い、佐々岡投手ら主力選手が次々と戦列を離れる事態が発生。守護神不在の中、代役で抑えを務めた山内投手が苦戦し、チームは痛い3連敗を喫してしまいます。

また、前年15勝を挙げる活躍を見せたロビンソン・チェコ投手も、6月末に故障により戦列を離脱。後半戦は一度も一軍のマウンドに上がることができず、先発、リリーフともに投手陣の層の薄さが否めなくなりました。

8月は13勝13敗と互角の成績で踏みとどまりましたが、8月30日のジャイアンツ戦でさらなるアクシデントに見舞われます。チームの主砲である江藤智選手が、後にチームメイトとなる仁志敏久選手の打球を顔面に受け負傷し、無念の戦線離脱となりました。この影響もあってか、シーズンの終盤にかけてジャイアンツとの差が開いていきます。

結局、前半戦の貯金を使い果たし、ジャイアンツによるいわゆる「メークドラマ」を許す形となり、1996年シーズンは惜しくも3位という成績に終わりました。

シーズン終了後には、若き主軸である緒方孝市選手がタレントの中條かな子さんと結婚するという明るい話題もありましたが、チームにとっては前半の貯金を活かせず、不運なアクシデントにも見舞われ、優勝を逃した悔しいシーズンとなりました。

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