1997年の広島東洋カープ

1997年 広島東洋カープ シーズン回顧

1997年、三村敏之監督が指揮を執る広島東洋カープは、4年目のシーズンを迎えました。前年に読売ジャイアンツにペナントレースの行方をひっくり返されるという苦い経験をしたチームは、その雪辱を胸に新たな戦いに臨みました。シーズン開幕から6月にかけて、チームは首位を走るヤクルトスワローズに食らいつき、リーグ優勝争いに加わる健闘を見せます。

しかし、夏の気配が濃くなる7月以降、チームの勢いは徐々に陰りを見せ始めます。勝ち星を思うように積み重ねることができなくなり、成績は低迷。終盤には負け越し数が先行する、いわゆる「借金生活」に突入してしまいました。一時は最下位に沈んでいた横浜ベイスターズにも追い抜かれるなど、厳しい状況に立たされましたが、最終的には何とか順位を3位で確定させ、目標の一つであったAクラス（3位以内）は守り抜きました。

チームを支える投手陣では、新人ながら入団1年目の澤崎俊和投手が素晴らしい活躍を見せ、その功績が認められ新人王を獲得しました。また、当時42歳という年齢でありながら、ベテランの大野豊投手が衰えを感じさせない投球で最優秀防御率のタイトルを獲得するなど、希望の光もありました。一方で、チームの屋台骨となるべきエースの紀藤真琴投手や、経験豊富な加藤伸一投手がシーズンを通して不振に苦しみ、二人ともわずか1勝に終わるなど、先発ローテーションにおける誤算も少なくありませんでした。

打撃陣に目を移すと、チームの不動の4番打者であった江藤智選手が顔面骨折から復帰したものの、打率は前年から低下。本塁打数でも、新たな主砲として台頭してきたルイス・ロペス選手や、後にチームの中心選手となる金本知憲選手（シーズン中に江藤選手に代わって4番を務めることもありました）に抜かれるなど、やや陰りが見え始めたシーズンとなりました。そうした状況下で、緒方孝市選手は、前年にかな子夫人と結婚したことなども手伝ってか、公私ともに充実した様子でプレー。この年も3年連続となる盗塁王のタイトルを獲得し、チームを牽引しました。

この1997年シーズンは、広島東洋カープという球団にとって、一つの大きな区切りとなった年として記憶されています。このシーズンを境に、チームは2013年まで実に16年間もAクラスから遠ざかることになります。この年以降、長らく続いた「黄金時代」の終焉が明確となり、翌年には三村監督の勇退や、正田耕三選手、大野豊投手といった長年のチームの顔であったベテラン選手の引退が相次ぎ、チームは本格的な再建、そして「暗黒時代」へと突入していくことになります。

1997年シーズンは、激しい順位争い、若手とベテランの明暗、主力の不振と新戦力の台頭、そして後の時代の転換点となる出来事など、様々な要素が入り混じった、記憶に残る一年となりました。このシーズンを通じて、個々の選手たちが残した成績や、オールスターゲームでの活躍、そして未来を見据えたドラフト会議での選手の獲得など、多くの出来事がありました。これらの記録は、後の広島カープの歴史を語る上で、欠かせない礎となっています。

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