1999年自由民主党総裁選挙

1999年自由民主党総裁選挙について

1999年9月21日に行われた自由民主党総裁選挙は、当時の政局に大きな影響を与えた重要な選挙となりました。これは、1997年の自由民主党総裁選挙で現職の橋本龍太郎が無投票で再選されたことによる任期満了に伴い開催されました。この選挙の主な争いは、現職の小渕恵三と加藤紘一の間で繰り広げられました。

選挙の背景

小渕恵三は、1998年の自由民主党総裁選挙で初めて当選を果たし、再選を希望していました。彼は後継者の座を巡り、特に加藤派を継承した加藤紘一に対しては、優遇を図ると同時に出馬を取りやめるように懐柔を試みました。しかし、加藤はこれを退け、盟友である山崎拓とともに立候補することを決断しました。

加藤は自身が将来の有力候補とみなされていることを理解し、今回の選挙をポスト小渕をアピールする絶好の機会と捉えました。このように、この選挙は彼にとって将来的な展望を広げる舞台でもありました。

選挙の展開と結果

選挙の結果は予想通りに小渕が勝利を収めましたが、彼は加藤に対して厳しい態度を取り、選挙直後の人事では加藤派を徹底的に冷遇しました。この冷遇はその後「加藤の乱」という政治的混乱を引き起こす引き金となりました。一方、清和会（森派）は派閥会長の森喜朗が小渕政権を支持する姿勢を早々に示し、出馬を見送った結果、安定的な支持基盤を形成しました。

また、小泉純一郎も清和会の方針に従い、選挙戦には参加しませんでした。後に小渕が健康を損ねて政権を退くと、森が幹事長として首相の座につくこととなりました。この状況において、森を派閥会長として支えていた小泉は加藤の乱を収める役割を果たし、結果的に次期首相の座を得ることになります。

政治的な布石

このように、1999年自由民主党総裁選挙は単なる党首選挙にとどまらず、今後の政局に重要な影響を与える多くの伏線を暗示していました。特に、当時若手議員だった安倍晋三の出馬要請が森にプレッシャーをかけたことも重要です。安倍は後に「彼が対抗馬として出ていた場合、後継首相になれなかったかもしれない」という回想を残しています。

この選挙は日本の政壇における派閥の力争いや権力のダイナミズムを色濃く反映した出来事であり、当時の政治的環境を理解する上で外せない重要なポイントとなっています。これらの背景を知ることで、自由民主党の今後の方針や動きについても深い理解が得られます。

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