2バッドコップス

2バッドコップス（Cop Secret）：アイスランド発、型破り刑事コンビの活躍

『2バッドコップス』（原題: Leynilögga、英題: Cop Secret）は、2021年に公開されたアイスランドのアクション・コメディ映画です。特筆すべきは、2018年のFIFAワールドカップにアイスランド代表として出場し、国民的英雄となったサッカー選手、ハンネス・ソール・ハルトルションが初めて監督を務めた作品であること。主演はオイズン・ブロンダルとエイイットル・エイナルソンが務め、型破りなワイルド刑事とクールでマッチョなイケメン刑事という、対照的なコンビの活躍を描いています。

制作の背景

本作は、主演のオイズン・ブロンダル、監督のハンネス・ソール・ハルトルション、脚本のスヴェリル・ソール・スヴェリソンの3人が、2011年にテレビ番組のために制作したニセ映画の予告編が原点となっています。その予告編が好評を博し、長年の構想を経て、満を持して劇場映画として実現しました。

本国アイスランドでは、2021年の劇場公開作品として『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ|007_ノー・タイム・トゥ・ダイ』に次ぐ大ヒットを記録し、アイスランド映画としては年間1位に輝きました。日本では劇場公開こそされませんでしたが、2022年2月にはDVDが発売され、Amazon Prime VideoやU-NEXTなどの動画配信サービスでも視聴可能となっています。

あらすじ

物語は、アイスランドの首都レイキャヴィークを舞台に展開します。謎の犯罪グループが銀行を襲撃するものの、何も盗まずに逃走するという不可解な事件が続発。敏腕だが暴力的な刑事ブッシは、相棒の負傷により、ライバルである隣の管区のエース刑事ホルドゥルとコンビを組むことになります。

ホルドゥルは、15ヶ国語を操る頭脳明晰なイケメンで、元人気モデルという華やかな経歴を持ち、パンセクシャルであることを公言する「セレブ」です。ブッシはそんなホルドゥルに強烈な対抗心を抱きますが、捜査を進めるうちに二人の距離は急速に縮まります。自身の性的指向に悩んでいたブッシは、酔った勢いでホルドゥルと関係を持ち、恋人の説得もあり、ついにゲイであることを受け入れます。

一方、犯罪グループのボスがホルドゥルのかつてのモデル仲間リッキーであることが判明。女子サッカーW杯出場を懸けた対イングランド戦が次の標的であると考えた警察は、試合会場に警備を集中させますが、それは敵の策略でした。犯罪グループの真の目的は、銀行襲撃時に密かにコンピューターに感染させたウイルスを使って金庫を開け、金塊を盗み出すこと。スタジアムへの爆弾騒ぎは、警察の目を欺くための陽動作戦だったのです。

事件の真相に気づいたブッシは、リッキーらに弟を拉致されたホルドゥルと共に、犯罪グループのアジトに乗り込みます。激しい戦いの末、二人は犯罪グループを壊滅させ、リッキーを倒し、弟を救出。スタジアムでは、署長と爆弾処理班が爆破を阻止し、アイスランド代表はW杯出場を決めます。

事件後、ブッシとホルドゥルは結婚し、ホルドゥルの豪邸で暮らし始めます。さらに、捜査に協力して命を落とした隣人の遺児を養女に迎え、二人は公私共に最高のパートナーとして、レイキャヴィークの平和を守り続けるのでした。

しかし、エンドクレジットでは、死んだと思われていたリッキーが生存していることが示唆され、物語は新たな展開を予感させます。

評価

Rotten Tomatoesでは、84%の高評価を獲得しており、そのユーモアとアクション、そして現代的なテーマが評価されています。バラエティ誌は、「俳優たちの楽しさが伝わってくるおかげで娯楽性が損なわれずに済んでいる」と評しつつも、「クレバーか? それは絶対にない」と指摘しています。また、「Eye For Film」は、「バディ・コップ映画全般に見られるホモエロティシズムを全開にした作品」と評し、ペーター・オステリートは、「『ブロークバック・マウンテン』の要素を混ぜた作品」と評しています。

『2バッドコップス』は、往年のバディ・アクション映画へのオマージュでありながら、現代的な視点を取り入れた、新感覚のエンターテイメント作品と言えるでしょう。

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