2番ゲージ

2番ゲージ：鉄道模型の縮尺と軌間の歴史

2番ゲージは、鉄道模型の世界における縮尺と軌間を表す規格です。19世紀末から20世紀初頭にかけて確立された歴史ある規格ですが、時代や地域によって軌間と縮尺の定義が異なっていたため、その変遷をたどることは興味深いものです。

軌間と縮尺の変遷

現在、2番ゲージはヨーロッパのNEM規格においてのみ明確に定義されており、軌間64mm、縮尺1/22.5とされています。しかし、歴史を振り返ると、アメリカやイギリスでは異なる定義が用いられていました。

例えば、アメリカではかつてNMRA規格に、2番ゲージ相当の規格が存在しました。1/2インチスケールや17/32インチスケール（軌間2.5インチ/約63.5mm）で、縮尺は1/24や1/22.6とされていました。しかし、2009年の規格改訂でこれらの表記は廃止されています。

イギリスでは、ヘンリー・グリーンリーとバセットロークによって策定された規格において、軌間2インチ（約51mm）・縮尺7/16インチ（約1/27）が2番ゲージと定義されていました。また、軌間2 1/2インチ（約64mm）・縮尺1/2インチ（1/24）は3番ゲージとされました。興味深いことに、このイギリス規格における3番ゲージは、現在のNEM規格の2番ゲージ、そしてかつてのアメリカの1/2インチスケールや17/32インチスケールに相当すると言えるでしょう。ただし、現在のイギリスのBRMSB規格には、2番ゲージと3番ゲージの定義は存在しません。

さらに、1891年のライプツィヒ見本市でメルクリン社が発表した縮尺1/22.5、軌間64mmの鉄道模型も、初期の2番ゲージに繋がる重要なモデルと言えるでしょう。1909年の規格改定では、軌間が50.8mm（2インチ）とされ、64mmのものは3番ゲージに分類されました。このことから、2番ゲージの定義が時代とともに変遷してきたことが分かります。

かつてNEM規格にも、軌間51mm・縮尺1/27の規格が「過去の規格」として記載されていたことも興味深い点です。

ナローゲージと関連規格

ナローゲージモデルとは、実物の狭軌鉄道を模型化したもので、2番ゲージでは軌間45mmなど、64mmより狭い軌間を用いた縮尺1/22.5の模型が該当します。NEM規格には、このナローゲージに関する規定も含まれています。

一方、IImゲージ（Gゲージとも呼ばれる）は、縮尺が1/22.5に限定されず、メーカーや車種によって1/20～1/29と幅広い範囲をカバーしています。そのため、2番ゲージのナローゲージの範疇を超えた規格と言えるでしょう。

また、アメリカにはかつてスタンダードゲージと呼ばれる独自の規格が存在し、縮尺はイギリスの2番ゲージ相当でしたが、軌間は2 1/8インチ（約54mm）と独自のものでした。

日本の鉄道模型黎明期

日本の鉄道模型黎明期に提唱された50mmゲージについても、当時の製品は2番ゲージの2インチ軌間だったのではないかという説があります。

まとめ

2番ゲージは、その歴史の中で軌間と縮尺の定義が変遷し、地域や時代によって異なる解釈がなされてきた規格です。現在では、NEM規格における軌間64mm、縮尺1/22.5が標準的な定義となっていますが、その歴史的背景を理解することで、鉄道模型の世界をより深く楽しむことができるでしょう。

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