2階建車両

2階建車両

2階建車両とは、2層の客室を持つ鉄道車両やバス車両を指します。この形式は、特に乗車定員を増やしたり、2階からの眺望を楽しむために設計されています。英国では「ダブルデッカー」、米国では「バイレベル・カー」と呼ばれています。

特徴

一般的に、2階建車両は普通の車両よりも屋根の高さが高く、1階の床面が低い構造をしています。バスの場合、1階の客室がホイールベース間に制約されるため、2階の床面積が広くなることがよくあります。鉄道車両の場合、台車間の中間部分が2階建ての構造を持つことが多いですが、全体の構造によって1階と2階の床面積がほぼ同等となる場合もあります。

運用においては、鉄道の1階席が眺望に劣る一方、2階席は視点が高く眺めが良いため、料金の設定や等級分けがされています。また、バスでは1階部分を荷物置き場やフリースペースとすることがあるため、利用形態によって使い分けが行われています。

走行特性と制約

2階建車両は、その構造から重心が高くなり、ロール（横揺れ）が大きくなる傾向があります。また、空気抵抗が増加するため、運行速度や燃費に影響を及ぼすことがあります。そのため、例えば東海道・山陽新幹線では300系以降の車両には2階建ての形式が採用されていません。

バスにおいても、2階建車両は普通の車両よりも横揺れが大きく感じられることが多いですが、1階席の方がロールセンターに近く、揺れ方が少なく感じられます。いずれにせよ、車両の全高が高くなることから、居住空間の作りに工夫が要求されます。2階建車両は天井が低くなりがちで、居住性が劣ることが多いのもマイナス点です。

乗客の移動

車両内の限られたスペースに設けられる階段により、乗客や乗員が移動する際に時間がかかってしまうことがあります。また、1階部分の床が低いことで、移動制約者にとっては利用しやすい一方、2階に向かう際には不便を感じることがあるため、バリアフリーに関する配慮も必要となります。日本の鉄道車両の多くは、移動制約者に配慮して車両の端部を平屋にしていることが多いです。

2階建バスの事例

世界中で運行されている2階建バスには、英国のルートマスターのように、1990年代には多くの国で特に観光需要を背景にして運行されています。日本では、2階建バスの導入は主に高速・観光用として行われており、観光地へのアクセスや都市内の観光ルートで重視されています。

日本の道路に関する法令が影響し、2階建車両の全高が制約を受ける一方、近年ではオープントップバスの導入も行われているため、観光地の巡りや特別なイベントにおいては活躍の場が増えています。

特別な車両

一部の車両には、2階建ての構造を持ちながらも、居住性に優れた設計が施されているケースもあります。このような車両は、特に観光や特別な目的での運用を意図しており、様々な工夫をこらして乗客に快適さを提供することが求められます。

まとめ

2階建車両は、その便利さと独特な視点からの眺望を提供することから、世界中で人気の乗り物です。さまざまな構造上の課題を抱えながらも、効率的な輸送手段としての役割が期待され、今後も様々な形で進化していくことでしょう。

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